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『あっれ〜……まだシゲと真尋帰ってきてねえのかな〜〜〜』


真尋の教室の前をウロウロしていると


「……なにしてんだよ」


バツの悪そうな顔をしたシゲと


「不審者みたいだよ、手越くん…」


目を細めて嫌な顔をする彼女が帰ってきた。



『あ!真尋!シゲ!おかえり〜

もー、お前ら遅いよ〜何イチャイチャしてんだよ〜』



「い、イチャイチャ?!」



「……ったく…教室戻ったんじゃなかったのか?」



『真尋に言うことあるの思い出してさ〜』



「へ?なに?」



キョトンとした顔を浮かべる彼女に近付き




"返事は明日でいいよ{emj_ip_0177}"




耳元でそう呟くと
頭の上にハテナを浮かべるから



『ぷっ(笑)』



「な、なに?!返事って!?」



『ま、後で分かるって!』



俺はそれだけ言い残して
シゲと教室へ戻る。




『(うふふ、気付いてくれるかな〜?{emj_ip_0177})』




ーーーーーーーー
ーーーー



真尋side



キーンコーンカーンコーン……




「 ナニコレ 」



先生に125ページを開けと言われ

そのページを開くと



教科書の角の余白に


好き、付き合って{emj_ip_0177}



と言うメッセージがピンク色のペンで書かれていた



「( はぁぁぁあ…… )」



……手越くんの仕業だな…


子供っぽくて彼らしいな、と思いつつ
ちょっときゅんとしちゃった自分がいて。



……


"返事は明日でいいよ{emj_ip_0177}"


……ああ、さっきの返事ってこれのことだったんだ。



返事は明日でいいって言われても……どうやって返事しよう…



「(あー、いいこと思いついた{emj_ip_0177})」







~次の日の朝~



うわー、手越くんのクラスに来るなんて初めてかも……
ちょっと緊張…



教室を見回すと
手越くんと加藤くんが何やら二人でお話し中。




……邪魔しちゃ悪いかな?ま、いっか!(笑)



「おーい、手越くーん」



手越くんと加藤くんが目を見開いてこっちを向く




『えっ!うわっ!!!』




ガタタッ!!と机が鳴り
手越くんがわかりやすく動揺してて




『え、真尋!どーしたの?』


「…えと……手越くんって消しゴム二つ持ってたよね?」


『あー、うん。なんで?』


「いや、今日忘れちゃって……貸してくれませんか?」



『う、うん!いいよ。ほい』


「あ、ありがとう!」


『ん、いえいえ』


「……なんの話してたの?」



『えーっと……その…』



目を泳がせる手越くん。……なんなんだろう。



「どうやって告白しようかなって思って」


加藤くんがなんの躊躇いもなく、私にそう言ってくれた。


告白……

そっか。加藤くん、頑張るって言ってたもんね



……


なんでだろう、分かってたのに……苦しい。



「あ、そうなの?
なーんだ、エッチな話でもしてたのかと思った(笑)」


『そ、そんな話しねぇよ!変態!』


「はぁぁ〜?手越くんが変態だし、ばーか」


「それはその通りだ、」


なんて加藤くん。


『おい』


「……ふふふ、じゃあ
消しゴムまた返しに来るね


ありがとう」




私はそう手越くんに伝え
スタスタと教室を出た。










手越side


シゲと教室で
いつ告白するか考え中



『やっぱり屋上とか?』


「あー、いいかもな…」





うーーーん…と真剣に考えていると




「おーい、手越くーん」




後ろから真尋の声が聞こえて。

わかりやすく動揺してしまい机がガタガタと音を立てる



真尋は消しゴムを借りに来ただけらしい……




「……なんの話してたの?」



やばい、どうしよう、
なんて思っていれば




「どうやって告白しようかなって思って」




そのシゲの言葉に

真尋の表情が固まった


けど



「あ、そうなの?
なーんだ、エッチな話でもしてたのかと思った(笑)」



なんて笑う。




『そ、そんな話しねぇよ!変態!』



「はぁぁ〜?手越くんが変態だし、ばーか」



「それはその通りだ、」



『おい』



「……ふふふ、じゃあ
消しゴムまた返しに来るね

ありがとう」




少し、切なそうな顔をして教室を出た気がする。
多分強がって顔に出さないようにしたんだろうけど、




俺には分かるよ



『……大丈夫かな』



「隠す必要ねぇかなって、昨日言ったし。」



『だってあいつは……』



「………………うん、わかってる」



『シゲ、頑張れよ
二人で応援してっから。』



「言われなくても分かってるよ」










真尋side




加藤くんが、告白。


いつするんだろう。
誰にするんだろう。
どこでするんだろう。




気になって仕方ない。

そんなこと知っても、辛いだけなのに。




朝から


授業中も休み時間も
ずっとずっと加藤くんのことで頭がいっぱい。



気付けば放課後。



「あーーー!こんなの、私じゃない!


放課後だし手越くんに消しゴム返しに行かなきゃ!!!」




"こんな暗い私は私じゃない"
そう自分に言い聞かせ手越くんの教室へ向かう
















手越side








『真尋ー!』



ガラッ
彼女のクラスのドアを開けるけど



『あれ、いない』




消しゴム返してもらおうと思ったのに。


……まぁ俺が早く会いたかっただけだけど、




『( あ、筆箱から勝手に取ってこ〜 )』



ジーーっとチャックを開けると
中には何本かのシャーペンやボールペンと


ピンクのカバーがついた消しゴム。




『……ん?これ俺のじゃないじゃん』




ん?どゆこと?
自分の持ってたってこと?




………………え?




「あ、手越くん」



ドアに真尋が立ってて



『なあこれ…「教室行ったのにいなかったからさ、はい」



と言って渡されたのは


"俺の" 消しゴム。




『え?真尋このピンクの…「はい!教室帰って帰って!!」




と グイグイ背中を押されて



バン!

ドアを閉められた。




『え〜……どーゆーこと………』



彼女に返してもらった消しゴムを見ると




『…なにこれ?』



紙が挟まってて。






取り出して中を見ると










" 私だって手越くんを好きになりたいよ "








そう書かれていた。



………





この短い文で





彼女の気持ちが全部分かった気がする。









まだシゲのことを諦めきれないこと



だけど、俺のことを前向きに考えてくれていること







……でも俺は

シゲを超えることが出来ないということ






誰かが、何かを起こさないと


この関係はきっと何も変わらない。






『俺が変えてやる』





そう決意して俺は

シゲの背中を押すんだ。







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