2人よがりのプラネタリウム(SS)

きらきら、ちかちか。

ふと閉じた瞼に届いたきらめく光にトガが目を覚ませば、ベッドの周りにはキラキラと輝く星屑が浮かんでいた。


「·····想さんの、幻覚?」


寝ぼけた声でトガがそう言うと、ベッドの端に座っていた想は慌てて左目を閉じて幻覚を消した。


「おっと·····悪ぃなヒミコ、眩しくし過ぎて起こしちまったか?」

「ううん、平気です」

「光を落とすから、もう1回だけ星を映させてくれよ。俺の膝は硬いだろうけど、膝枕してやるからさ」

「やった、ひざまくらだー」


トガはそう言うとゆっくりとベッドの上を這って、想の膝の上に頭を乗せた。
それを見届けると、想はもう一度左目を開く。


すると·····キラキラと輝く小さな星が、部屋の中を薄い灯りで満たす。
星屑が瞬きを繰り返していくその様子はまるで、この部屋が小さいプラネタリウムになったようだった。


「キレイですねぇ」

「俺はガキの頃から星が好きでな。嫌な事があった時はこうして暗くした部屋の中に、幻覚の星を浮かべて遊んでたんだよ」

「·····小さい想さん、カァイイんだろうなぁ」

「お前には負けるよ、ヒミコ」


そう言うと、想は優しくトガの頭を撫でる。
それに心が穏やかになったのか、トガは「ふわぁ」と小さい欠伸をして、想の膝枕でウトウトと眠り始めてしまった。


それを見た想はトガを起こさないように後ろに倒れてベッドに沈み、部屋の中の星を見つめていたが次第に想もウトウトとまぶたが下がり、
最後には想のまぶたが閉じたと同時に、部屋に浮かんでいた星はフッ、と消えてしまった。




――――――――
2人だけのプラネタリウム。

20201130

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