手のひらに
「名前〜!おはよ!」
「あ。おはよう、今日早いね。」
「うん!今日は跡部と打ち合える日だから早く出た!」
「その跡部さんと打ち合わない日も早く起きれませんかね。」
「ギリギリまで寝る!」
「でしょうとも。」
朝の6時半。家から少し歩いたところで、水色と白のジャージ姿のジロちゃんに声をかけられた。
彼とは家が真後ろ同士だから学校へ向かう道も一緒だし、登校中に会うことは多い…かと思いきや、結構稀だったりする。
ジロちゃんはこのように不定期な時間に登校するし、私はみんなが登校する時間帯に家を出るからだ。
「名前は水やり?」
「そうそう、週に一回のお花当番。」
みんなが登校する時間に出る私だが、今日は美化委員の仕事で早くに出た。
しかしジロちゃんと遭遇する確率は低い。
今日のは本当の本当に偶然だ。
「この前話してたの、覚えてた!」
「そうなの?ジロちゃんに話したっけな。」
「亮と話してたでしょ?寝ながら聞いてた!」
「はい器用〜」
私とジロちゃんと同じく、幼稚舎の時から交流のある幼馴染、かつ今現在同じクラスの亮。
席が近いので話が聞こえていたみたいだ。
その亮のついでに言うと、岳人という子の家も私の家から近い。近いと言うか、ジロちゃん家の隣にある電器屋。
ちなみにジロちゃんはクリーニング屋だ。この2店舗にはいつもお世話になっている。
ご近所さん+通う学校が同じ+同学年なので、3人とは今現在も継続して仲良しだ。
小さい頃からつるんでいるから、ジロちゃん達とは親友みたいな関係かな!
それに
「ねぇねぇ、せっかくだからちゅうしてかない?」
「え。外ではダメって言ったじゃない。」
「誰もいない時は例外じゃなかった?ほら、朝早いから人いないC!」
「うーん……確かに人は見当たらないけど」
「ちゅう!」
そう言って前に立ちはだかったジロちゃんは、私の進行を阻んだ。
私たちは親友で、そしてキスフレだ。
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わらびもち