066 泣き喚いてひとつ大人になる




 願いが、時空を超えて、世界を照らした。ヤマトの友情は、ガルルモンに余すところなく降り注ぎ、彼は一身の『友情』を受け取った。


「ガルルモン超進化ァァァ!!」


 ガルルモンの咆哮が、世界を揺らがし、青い炎が彼を包み込む。


「ワーガルルモン!!」


 ベースである青色の狼型は変わらず、四足歩行だった形は二足歩行へと進化を遂げた。両腕には鋭い鍵爪がつき、相手を切り裂くには十分だろう。
 ワーガルルモンは、ヤマトの前に降り立った。
 ワーガルルモンは二足歩行になったことにより、ガルルモン時程の強靭なスピードは失われてしまったものの、それを補うくらいの防御力、攻撃力に長けている――栞の脳内にワーガルルモンの情報が雪崩れ込み、彼女はその瞳に彼の肉体を焼き付ける。溢れ続ける光は、ワーガルルモンの体を已然と包み込んでいた。


「あれが、ワーガルルモン…!」


 感極まったようにヤマトはデジヴァイスを握りしめる。己のデジモンが進化する姿は、何度見ても、美しいものだった。


「ワーガルルモンだと…!?――ナイトメアシンドローム!!」
「カイザーネイル!!」


 デジタマモンの殻の中の本体が、ワーガルルモンに向かって、全てを飲み込む暗黒の球体のように広がっていく。しかし、ワーガルルモンは両手を前に出し、必殺技である『カイザーネイル』を駆使し、喰いとめた。


「絶対後に引くなッ!ワーガルルモン!!」


 仲間を守るんだ。暗にそう言われているようで、ワーガルルモンの足に踏ん張りが籠った。パートナーの応援ほど、嬉しい物も、力を得られるものもない。ナイトメアシンドロームは確かに強力な技であるし、尋常ではない痛みが腕を伝う。それでも、ワーガルルモンは耐える。――全ては、ヤマトの、ために。

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