「ありがとう!――飛び込むぞ、みんな!!」
障害がなくなり、子供たちはゲートに向かって駆けだした。「みんなはやく〜…!!」今もパタモンが必死にピコデビモンを押さえつけている。ゲートは、既に閉じかかっていた。「はやくー…!うわっ!!」どん、っとパタモンの小さな体は押し込められた。ゲートの中に立っていたテイルモンの手によって。直ぐ様ピコデビモンはゲートの中へと飛び入り、テイルモンはにっこりと笑ってこちらを振り返った。
「アンタたちを通すわけにはいかないのよ」
「っ、だめ!!」
一馬が。おじが、おばが。結人が、英士が。笠井が。彼、が。帰る、場所が。兄を待つ、場所が。
走馬灯のように駆け抜けて行く顔が、鮮明に浮かぶ。場面は切り替わる。あの世界が、ヴァンデモンに支配され、傷つく彼等の姿が。
「だめ――っ!!」
パァ、と光が漏れ、テイルモンは顔を覆った。胎児のように温もりを求めるかのように、その光が懐かしく――すぐに顔を横に振りかざし、「忌々しいのよ!!」尻尾のリングをちりんと鳴らした。走る子供たち。叫ぶ子供たち。その背後の石像が、再びデビドラモンとなり、子供たちへと襲いかかる。
「またきた!!」子供たちへと降りかかるデビドラモンを、トゲモンは体当たりを食らわし、気絶させる。あと、数十歩。サッカークラブでツートップを組む太一と空が駆け抜ける。あと数歩――!
「じゃあねー!」
テイルモンはにこりと笑って、身を翻した。その中へと消えて行く。最後にちらりと栞を見た気がした。「うおおおおお!!」太一は咆哮しながら、ゲートへと向かう。 ぱたり。 扉は、静かに、閉ざされた。
17/07/27 訂正
11/06/07
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