「グレイモーン!」
そんな太一が一歩踏み出した。空があわてて太一の腕をつかむも、凄い形相で振りほどかれてしまった。
「止めるなよ!グレイモンを進化させるチャンスなんだぞ!頼むから邪魔しないでくれ!」
「で、でも紋章や栞には何の反応もないし…進化なんて無理だわ!」
「絶対進化する!いや、させてみせる!」
空の制止も聞かず、太一は俊敏な足で走り出した。子供たちはみんな驚いて目を丸くさせた。
「何をする気だ、あいつ!」
「進化のもうひとつの条件は、パートナーが危なくなった時。…おそらくその時に栞さんの守人としての力が無意識に発揮されるのでしょう。…まさか、太一さん!?」
そう、まさに光子郎の見解のとおりだった。太一は、自らを危険にさらすことで、栞の守人としての無意識な本能がむき出しとなり、それがパートナーに降り注ぐことにかけたのだ。
そんなことにも気付かないでいたエテモンは、未だ不機嫌そうな顔を崩さず、びしっとグレイモンを指差した。
「そろそろとどめよ!メガフレイムでケリをおつけ!」
敵のグレイモンは咆哮し、大きく口をあけた。幾度となく見てきたメガフレイムの準備だ。吐かれた大きな炎の塊は、間一髪のところでグレイモンにあたることはなかった。その隙をついて、太一は素早く敵のグレイモンの懐に潜り込んだ。
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