「そうだよ!」
「ワテらもようわかっとるさかい…」
「みんなの期待に応えられなくて、ごめんね…」
みんなが気遣ってくれたことに気づかないコロモンでもなくて、更に体を縮こまらせて、うつむいた。
太一は、衝動的に泣きたくなるのを抑え、何度も何度も首を横に振った。ヤマトがコロモンを気遣い、太一の後ろから声をかける。
「違う…、お前が悪いんじゃない…」
「そうだ、悪いのは俺だ…!」
「そ、そういうつもりじゃ…」
「知らず知らず焦ってた俺がいたんだ。紋章を手に入れてからさ、なんか自分ひとりだけで戦ってるような、そんな気になってたんだ…。ごめんな、みんな。…当たっちまって悪かった、栞…」
「…私が、いけなかったの」
空の横で、栞はうつむきながら立っていた。その声は、酷く震えていた。
「私が、抑えられなかったから…!」
他人の負に呼応して、襲いかかってきた己の負の部分に耐え切れず、グレイモンをスカルグレイモンへと進化させてしまったのは紛れもなく自分だ、と彼女は言った。震える肩を、震える声を、彼女は自らの小さな手で押さえ、今にも泣き出しそうになるのをこらえた。
「ごめん、なさい」
「栞のせいじゃな、!」
「なんで、私、こんなによわいんだろう―」
ほろり、と零れ落ちた涙は、彼女の頬を伝いコロモンの体へと落ちる。その涙は、守人の心と同じように清楚で優しい雫だった。
17/07/26 訂正
10/04/09 - 10/11/27 訂正
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