「あれ!?」
太一の声が響いて、栞はゆっくりと顔をあげた。驚くのも無理はないと思った。巨大なサボテンには、日陰がなかったのだ。ということは、この巨大なサボテンは蜃気楼ということになる。
「選ばれし子供たちよ…」
一度だけ聞いたことがある声が聞こえ、子供たちは一斉にあたりを見回した。
「ここじゃ、選ばれし子供たち、そして守人よ…」
「ゲンナイ!!」
ゲンナイの顔を見た子供たちは、一気に怒りが爆発するのを感じた。自分たちは彼の言うとおりにやった。紋章を見つけ、その力を放出させた。そして、その結果が先ほどの一件だった。
「ジジイ!お前の言った通り、タグと紋章を手に入れ、はめこんで戦ったけど…ちゃんと進化しなかったじゃないか!!それどころか、アグモンはかわいそうにコロモンに退化しちゃったんだぞ!」
「私、紋章なんてほしくないわ!」
「僕も!」
「まあ、落ち着け、選ばれし子供たちよ…」
彼の声は人を宥める力があるのか、ゲンナイの声に、子供たちは静まった。
「望むと望まざるにかかわらず、いずれ紋章はお前たちのものになる…」
「え!?」
「タグと紋章はお互いに引かれ合う性質を持っておるのじゃ!」
それから、ゲンナイの瞳は、栞に向けられた。彼女はずっと俯いたままで、ゲンナイはうむと眉を寄せた。
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