「名前くーん」
俺ほんまタイミング悪いわ…
「なにー?」
「ちゅーして?」
「えー」
「ええやんかー」
「しょうがねぇなー」
毎度毎度なんで遭遇するかな。ほんっっっまに自分運無いと思うねん。
「ん…ふぁ、ん」
女の口から漏れる声…。もしこんな場に遭遇したのが謙也やったらあいつ顔真っ赤になってんやろな。かと言って別に俺もこの場にいて気分いいわけと違うけど。はぁ…。
「名前ー」
「あ…」
「し、白石君?!」
「お取込み中申し訳ないんやけど…」
「じゃ、じゃあね名前君!」
女はかなり焦りながらこの場をあとにした。なんか見たことある思ったら、あいつ昨日財前とおった気がすんねんけど。
「なんですかー?白石君」
「君付けすんなやアホ」
「邪魔したくせに」
「しゃあないやろ?!」
「むきになんなよー。で、何しにきたの?俺に会いたかったの?」
「あ、あほ!んなわけないやろ?!オサムちゃんが呼んでただけや!!」
「そんな全力で否定すんなよー。照れ隠しなの?かわいー!襲っちゃいたい」
「はよオサムちゃんとこ行け!!」
見ての通りこいつは両刀。友達の俺(男)ですら余裕で誘ってくるような男。ほんまありえへんわ。
「冗談だってば。俺お前にはノンケでいて欲しいからさ」
どんな願いやねん。俺は一生男に興味持つことなんてないって言い切る。
「てかさっきの女…」
「ん?あー…光の…かな?」
「分かってたんか」
「なんとなくね〜。でも来たんはアッチよ?俺悪くない」
「……」
「まぁ光なら俺に文句言えないだろうしね」
それは確かに間違いない。あいつらも無駄にコイツに執着してる。
「ほんまお前ってわからん」
「別にわかんなくていいよ」
「……」
「今更そんなん関係ない。そうやってここまできたんだし」
本当今更…な。
130524
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