「はーー」
ほんま頼むわ。
「謙也さん邪魔っすわ」
「おわっ!」
ほんま、ほんま、はよー名前帰ってきてや…財前がめっちゃ機嫌悪うなってるんやけど…
言うて俺が名前に直接お願いすんのもなんか癪に障るし。かと言って連休をどうこうしようがあいつの勝手やから自ら帰って来るとも思わんし…。
「あーもー、どうしたらええんやー」
「どうしたの、くらりん」
「小春ー、名前いつ帰ってく…」
「?」
うわ、ここぞとばかりに「名前」っちゅー単語に反応しよって俺の方めっちゃ睨んでくるんやけど。てか、俺はお前みたいに名前と会いたいんとちゃうからな!お前のイライラを鎮めたいがために名前待っとるんやからな。
「不機嫌ね〜」
「八つ当たりは辞めてほしいっちゅーねん。財前に言ったとこで言い返されるんがオチやからな。こうなったら名前に帰って来てもらうしかないねんな…」
そもそも名前は部員じゃないのにほぼ毎日と言っていい程部室にくるから異様に財前がなついてしまった。その結果がこれや。ちょっと名前が顔を出さないだけで財前の奴が機嫌悪うなんねん。お前は名前の彼女か!
「無駄に疲れたくないんや俺は…」
財前の椅子を蹴る音と謙也のヒイッという悲鳴と俺のため息が重なった、そんな午後。
131119
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