1話


「この件はお前に一任してる」

主任はそう言ってファイルに興味を示さなかった。
だがシドは何かを隠しているのではないか…表情からそう感じた進藤はファイルを確認しようと手を伸ばしたが、その手はシドに握り込まれてしまう。

「おーっと…何だ進藤ちゃん、このファイルに興味があんのか?」

「えぇ、念のため確認を…それを渡してください」

「お仕事熱心だね*だが主任様は俺に任せるっつってるが…良いのか、大好きなご主人様に従わなくて?」

握り込んだ手を撫で回しながら小馬鹿にしたような態度をとるシドへの悪態をどうにか堪えながら目線だけで主任の指示を仰ぐ。

「先程も言った通り、この件はシドに一任する…進藤、お前は私の補佐に専念してくれ」

頼ってもくれないくせに何の補佐に専念しろというのか…自分一人で何もかもを背負う彼の姿を思ってそんな不満が首を擡げたが、

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