番外


「まったく、かわいいねぇ…」

渋々といった表情でファイルから手を離す進藤を見て思わずそんな独言が口から漏れだす。
だが幸いと言うべきか残念と言うべきか、進藤には聞こえていなかったようだ。
すぐ隣にいる貴虎の耳には辛うじて届いたらしくこちらを一瞥したが、何も言わない俺を見て聞き違いと判断したのか、すぐに視線を正面に戻した。








あれから数日、社内の廊下を歩いていると向かい側から真剣な眼差しで書類を見つめる進藤がやってきた。
もうすぐすれ違いそうな距離になっても向こうはこちらに気付かず、相当書類に没頭しているようだった。
何の書類かは知らないが面白いはずもないだろうに…だが貴虎に心酔している彼のことだ、貴虎の役に立つと思えばどんなつまらない仕事でも夢中になってしまうのだろう。

そう考えると何故か無性に腹が立ち、思わず真横に並んだ彼の肩を強引に引き寄せた。

「わっ…あ、シドさん!すみません、気付かなくて…お疲れ様です」

「おつかれ~そんな真剣に何読んでんだ?」

「戦闘員の身体能力に関するデータです。
今凌馬さんから受け取ったんですけど、最近全体的に伸び悩んでて…訓練メニューを増やすべきか考えてたんです」

もっとビシバシ鍛えたいんですが、任務に支障が出ると困るんですよね。
そう言って眉をひそめる彼の瞳がこちらを向いていることを確認すると先程の腹のムカつきは四散し、代わりにちょっとしたいたずら心が芽生えた。

「ほぉ…そういうことなら役に立ちそうな薬を持ってるんだが、試してみるか?」

ちょっとした筋肉増強剤なんだが。
そう言うと彼はあからさまに興味を示したが、やはり俺のことを信用しきってはいないのか、すぐ腹を探るような視線を向けてきた。

「安全面はどうなんです?部下に危ない薬は使わせられませんよ」

「勿論だ…何なら試してみるか?もちろん、進藤ちゃんの体でな」

「…いえ、結構です。本当に安全なのであれば、俺ではなく凌馬さんに申し出てください。俺はあくまで指導役、戦闘員の体調管理を任されてるのは彼なので。」

まさか俺の思惑を見破ったわけではないだろうが、こういうことに関しては彼の上司である貴虎よりもはるかに手強い相手だ。
だが彼の弱点はあまりにも見え透いている。

「良いのか?これは進藤ちゃんだから特別に持ちかけてる話だぜ?きっと貴虎の役に立つと思うがなぁ…?」

そのまま遠ざかろうとする背中に問いかける。
戸惑うように2,3歩進み、結局足を止めた彼の姿を見て口角が上がるのを自覚した。




「ここで良いか…」

空いてる実験室に入り、水と一つの錠剤を彼に手渡した。
彼は数秒ただ手中の薬を見つめていたが、やがて覚悟を決めたように口に放り込み、勢いよく水を煽った。

「効果が出るまでどのくらいです?」

「10分…いや、20分ってとこだな」

そうですか。と先程の書類をまた読み始めた彼を見て、俺も普段仕事で使用してるタブレットを取り出した。




まだ5分程しか経っていないが、先程から進藤は忙しなく何度も水を飲んでいる。どうやら薬が効き始めたようだ。

「どうした、具合が悪いか?」

「いえ、何か落ち着かなくて…この薬って精神面に何か影響があるんですか?」

「いや、そんな話は聞いてないが…具合が悪くなったらすぐ言えよ」

「えぇ…ありがとうございます」

それから10分の間体調の変化に戸惑う進藤の姿は俺を存分に楽しませてくれた。
火照る頬に熱い息、きっと無意識なのだろうが時折秘部を慰めるように擦り合わす足が色っぽく、自分の下半身に熱が溜まっていくのを感じる。

「おいおいどうした、まじで具合が悪いのかぁ?」

そう言って距離を詰めて右手で頬を撫でると進藤は目に見えて体をビクつかせたが、自分の変化を俺に知られるのが嫌なのか、どうにかポーカーフェイスを保とうとしているようだった。

「んっ…大丈夫です、本当に…手、離してください…触らないで」

「そんなに俺が嫌いか?傷付くねぇ…。だがそんなこと言ってる場合じゃねぇだろ?ほら、診せてみろよ」

「ちがっ…そうじゃなくて、ほんとに…大丈夫だから!やめ、触らないでくださ…っあ、やぁ…!」

頬から手を滑らせ脈を確かめるように首を撫で、左手でシャツのボタンを外して顕になった鎖骨の辺りに軽く爪を立てる。

「んっ…ん、は…やめて…なんっ、なんでこんな…あっ…」

邪魔なジャケットを脱がせてシャツのボタンをすべて外す。
意識が朦朧としているのかされるがままな進藤に、自分の中の支配欲が満たさていくのを感じる。
どうにか体を支えようと力が篭められている手を掴み、そっと押し倒すとその体は大した抵抗もなく冷たい床へと横たわった。

「からだ、あつい…ゆかきもちぃ…」

「気持ちいいなぁ?もっと気持ちよくしてやるよ…」

腰の辺りに跨り、覆いかぶさるように顔を首筋に埋める。
赤い花を咲かせながら右手で胸を撫でると、その度に華奢な腰がびくびくと震え、段々と彼の欲が張り詰めていくのが分かった。

「ん、ん…あ…シドさ、あっ…なに…何して…んっ」

「ん~?進藤ちゃんのおっぱいをかわいがってんだよ?でもこれだけじゃ物足りねぇだろ…どうしてほしい?」

上半身を起こし、自由になった左手も加えて両胸を荒々しく揉みしだく。
外気の冷たさと胸への刺激で硬くなった乳首をわざと避けて愛撫を続けていると、彼は強請るように胸を反らせ、決定的な刺激を求めて体をうねらせた。

「ん、あっ…わか、分かんなっ…分かんない…!も、や…ん、や…あぁっ…」

「分かんないわけねぇだろ~…まぁいいや、じゃあオレの言う通り言ってみな?

"えっちな勃起乳首を指でこりこりして気持ちよくしてください"

って…ほら、言えよ」

「なっ…ん、そんなの言えな…んっ、やだぁ…んっ、んぅ…」

「言えなきゃずっとこのままだなぁ?可哀想に…」

胸を揉む手を強めて掌で軽く乳首を刺激すると、そのもどかしい快楽に進藤は今にも泣きだしそうな嬌声をあげる。

「やぁっ…んっ、ん…乳首…きもち、もっと…シドさんおねが、あっ…もっとして…きもちい…!」

「俺が言ったのと全然ちがうじゃねぇか…そのくせ可愛い声出しちゃって、ズッリィなぁまったく…」

いつも向けられている冷たい瞳を今は欲でとろとろに蕩けさせて、こんなにいやらしくおねだりされては従う他に道がない。
なんだか負けた気分になりながら、彼の要求通り乳首を弄りだす。
赤く熟れた突起をまずは優しく撫で、少しずつ力を強めていく。
芯を扱くように強く刺激すると、今までどうにか声を殺そうと呻くように喘いでいた彼の口から大きな喘ぎ声が次々と溢れていく。

「あぁぁっ!んっ、あ、あ、きもちっ…乳首こりこりやだ…あ、んんっ…は、ぁぁっ…」

「」


「ひっ…んっ、ん…やめっ…!」

「ひぁっ…!?」

「あっ、やっ…そこだめ…んんんっ」

「あっ…あっ…」

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