猫に食われたティムキャンピーも無事取り戻し、通りかかり乗せてくれていた荷台でうつらうつらとアレンの肩に頭を預けていれば、ビクリと揺れたアレンの肩に同じようにつられる。


「な、に、どうしたの」

「あ、すみません……!師匠に殴られた時の夢見てました」

「あぁ……あれは本当に災難だったね」


お互いが苦笑を浮かべた途端、響いてきた幼い声の内容に顔を見合わせ乗せてくれた人にお礼を言い、即座に荷台を飛び降りた。今、確かにAKUMAって―――


「大丈夫ですか!?アクマは…どこ……!?」

「悪魔なんているわけねーだろ」


声にした方へ急いで向かうと、そこにはただの人集りが出来ているだけで確かにアクマは居ない。焦っている私達を見て一人の男が、呆れたように男の子を叱った。


「ホレ見ろジャン!お前が殺されるなんて言うから!悪いな、こいつのイタズラなんだ。悪魔だの騒いでは大人をおどかして遊んでだよ」

「遊びじゃねっつのバカ!この世界をじわじわ侵略し始めてんだぞ!」

「(やけに詳しいな……)」


声を荒らげて説得する少年はフードを被った男が、ハット帽のゴツイやつに殺されたと指を指して言った。少年の口を塞ぎなんでもないんだ、と笑ったフード男に人集りは徐々に帰路へ着く。


「アレン……」

「えぇ、アクマです……僕の目はごまかせないよ。君はアクマだ」


音もなくアクマを葬ったアレン。少年の手を引き怪我はないかと問えばこくこくと頷いたのを確認して一息つく。


「ジャンくん…だっけ?キミ、アクマのことやたら詳しそうだけど何者だい?」


手袋をはめ直して、問いかければジャンくんは叫びをあげて押し倒す勢いでアレンに飛びついていた。


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