未定
オレは#name#のことが好きだ。
今まで暗殺作法を教え込まれ続けてきたオレにとって、全ての物事、出会いがすごく新鮮だった。
ゴンは大切な親友で、クラピカとレオリオは大切な仲間で、#name#は守りたい大切な人。
好きな女にどういう風に接したらいいか分からないオレは、ただ自分の気持ちを素直に言うしか出来ない。
「#name#〜」
「ん?…わっ!?キルアどうしたの?!」
「お前に触れてると癒されるんだよな〜」
オレはことある毎に#name#のところへ行って抱きついたり甘えたりしている。
その度、ゴンとレオリオには羨ましがられたり怒られたりするけど、クラピカはいつも無関心を貫いてて背中を見せる。
興味なさそうにしてるけどオレは知ってる。
クラピカもオレと同じ目で#name#を見てることを。
それなのにオレが#name#に触れたり親しくしてても我関せずのまま。
本当は絶対、嫉妬してるはずなのに。
何も言ってこないならそれはそれで構わないけど、やっぱりなんだかモヤモヤしてる自分が居る。
「キルア?」
「!あ、あぁ#name#、どした?」
「ううん、なんかキルアぼーっとしてたから」
「…別に。#name#の胸の中に居ると安心するんだよ」
「キルアっ!!ったく、いい加減にしろ!!」
#name#にベタベタしている姿に堪忍袋の緒が切れたのか、レオリオが真ん中に入ってオレと#name#は引き裂かれた。
ちょっとホッとした様子の#name#の表情を確認したあとにクラピカの方へ目を移す。
少しは反応があるかと思ったが、やっぱりオレたちの様子を見ることもなく、目を逸らして見ないようにしてる。
レオリオみたいに怒ってもいいはずなのに、何故か頑なに関心を見せない。
何を考えてるのか分からないオレは、クラピカが一人の時を見計らって近付いてみることにした。
ーーーーーーーーーーーー
その日の夜、飛行船を一人でブラッとしてると、夜空を見上げているクラピカの姿が目に入った。
ちょうどクラピカを見かけたら話そうと思ってたところだからちょうどいい。
自分の気配に全く気付いていないクラピカへ近付き声をかける。
「よっ」
「…キルアか」
「隣、邪魔するぜ」
「……………」
隣に移動すると、クラピカは何か思ってるのかじっとオレのことを見た。
その真っ直ぐな視線に合わせるようにオレもクラピカを強い眼差しで見返す。
しばらくお互い見合ったあと、なんとなくクラピカの方が目を逸らしそうだったから気になってることを訊き始めた。
「クラピカってさ、#name#のこと好きだよな」
「…なんのことだ」
「とぼけんなよ。お前が#name#を見る目がオレと同じなんだよ」
「…………」
「なんでオレが#name#に甘えてると見て見ぬフリすんの?」
クラピカと二人だけになる時なんてなかなかない。
周囲の気配を辿ってみたが、ゴンやレオリオ、#name#、ハンター試験を受けに来てる他の連中、誰もこの辺りには居ないようだった。
それを確認したあと、日頃から気になってたことを直球で訊いてみた。
最初こそ避けてるわけではないとか否定してたけど、オレのしつこい問い掛けに観念したのか、大きな溜め息を一回ついたあとにポツポツと自分の感情を話し始めた。
訊くとクラピカは自身が復讐者だから、誰かを好きになったりする感情は持ってはいけないと言う。
#name#には自分のような過去を追う人間よりも、未来がある人と幸せになってほしいという気持ちが強いらしい。
だから、誰かと親しくしていたとしても常に平常心を持って耐えていると。
大まかに聞いただけだが、クラピカとオレとはこれまでの生い立ちがまるで違うから、クラピカの気持ちを理解しようとしても出来ない。
ただ、クラピカが自分の気持ちを押し殺しているというのはよく解った。
オレが思ってる以上に#name#のことが好きだということも解った。
「クラピカの気持ちは解ったけど、なんかその考えって、いつか後悔しねぇの?」
「後悔?」
「これから先、オレたちの道がそれぞれバラバラになったりした時とか、いつか来る死に際の時とかさ」
「……………」
「復讐することは別にクラピカの自由だけど、それまではちょっとくらい正直に生きてみてもいんじゃね?」
「……………」
クラピカの気持ちも考慮しつつ、もし自分自身がクラピカと同じ立場だった時のことを考えた上で答えた。
ほとんど無言状態になったクラピカだけど、しばらくオレの顔を黙って見たあとはまた真っ暗な海に目線を戻す。
今クラピカが何を考えてるのか分からないけど、話をする前よりも清々しい表情をしているような気がした。
少しは前向きになったのかもしれない。
ーーーーーーーーーー
翌日。
まだ飛行船が目的地に着くまでに時間があったから、昨日と同じく#name#に抱きついて甘えている。
「はぁー、やっぱり#name#の傍は落ち着くなー」
「キ、キルア…、あの…」
「キールーアーっ!!お前はまたそうやって#name#にベタベタしやがって…!」
「キルア、#name#が困ってるよー」
今日も#name#に甘えていると、それを見ていたレオリオとゴンが不満を漏らす。
羨ましいなら二人も#name#に甘えればいいのに、と思っていた時だった。
「キルア、ゴンの言う通り#name#が困っている。そうやってくっつくのは辞めるべきだ」
「「!!??」」
「大体そういうことをしていいのは#name#が大切だと思っている人間だけだろう」
意外な人物の声。
当たり前だけど声の主はすぐに分かる、クラピカだ。
いつも無反応のクラピカが、今日は珍しく口を開いてオレの行動をピシャリと注意した。
おそらく、昨日の会話で自分の感情を隠すことをやめたんだろう。
ゴンとレオリオは突然のクラピカの言動に口を開けてたけど、オレ自身はむしろ嬉しくなって口角が上がった。
やっぱりライバルは張り合ってなくちゃつまらない。
クラピカが口を挟むようになって、#name#を誰にも譲りたくない気持ちがいっそう強くなった。
自分の気持ちは常に正直に
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