彼女の故郷へ
「ねぇねぇ!良ければみんな、私の国に来てみない?」
「「「「#name#の国?」」」」
ゴンたちと試験まで旅をし、それもようやく終わった。
これから本格的に目的を果たすため、まずは雇い主を探すことが第一。
"次はヨークシンで再会"
それぞれが別れの言葉を言いかけたその時、#name#の明るい声がそれを遮った。
これからは別々の道を行くというのにこの唐突な言葉、#name#らしいといえばらしいか。
早くもっと強くならなければならないが、好意を抱いている女性の提案とあっては拒否することなんて出来ない。
それはきっと、他の仲間たちも同じだろう。
「#name#の国かぁ…!行きたい行きたい!」
「確かにオレも、勉強の前に羽を休めてぇしな」
「クラピカ、どうかな…?」
「…あぁ、是非」
「よし、そうと決まればさっそく飛行船のチケット取ろうぜ」
意見は当然の如く満場一致。
キルアの言葉を皮切りに、我々は#name#の国へ向かうために飛行場の窓口へと急いだ。
彼女の故郷へ
パドキア共和国からジャポン国までは飛行船で半日ほど。
飛行船内では仮眠を取ったり試験の思い出や悔しい気持ち、これからやるべきことなどたくさんのことを話して時間を過ごした。
だからなのか12時間というのはあっという間に流れていき、#name#の故郷に到着した。
「着いたよ!ここが私の生まれ育った国なんだ」
「うおぉ〜!!……って寒っ!!」
「わ〜、雪が降ってる!」
「へ〜!いいところじゃん!」
「ここがジャポン国……」
飛行船が#name#の国の滑走路に着陸し、乗客を降ろすための階段がゆっくり開かれた。
その瞬間、外から吹き付ける冷たい空気が我々を歓迎する。
飛行船の中は暖かく過ごしやすい温度だったからか、寒暖の差が異様に身に染みた。
空からは白い結晶が降り注ぎ、それによって地面は真っ白な更地のように染められていく。
周囲を見渡すとたくさんの山々、そして高い建物も連なっており、自然と都会が上手く調和された感じの場所だった。
…何故か、初めて訪れたところなのに懐かしい気分になる。
#name#の故郷だから妙に感情移入してしまっているのか、実は憶えていないだけで幼い頃に来たことがあるのか。
いや、ルクソ地方を出たのは仲間が殺される数週間前が初めてで、両親もオレが生まれてからは外の世界に出たことはないと言っていた。
だとすればこの感覚は前者なのだろう。
ゴンたちの方に目を向けると彼等も初めて来た地だからか、それともオレと同じく#name#の故郷だからという理由だからか、表情はとても明るく目も輝かせながら周りを見ている。
オレも含めて、皆ジャポン国に興味津々だ。
…しかし、雪が降っているだけあって外の気温はかなり低い。
その寒さは口から息を吐くと白い蒸気が出るほど。
オレもそうだがゴンたちも#name#自身もかなり薄着なために身震いしてしまう。
「いや、マジでさみーっ!」
「確かに、なんか羽織るの持ってくれば良かったね」
「みんな寒くてごめんね。じゃあこれから私が予約しておいた旅館に急いで行くよ!」
「…リョカン?」
「おそらくホテルのようなものだな」
飛行船から降りて窓口の方まで歩き、手荷物検査などの手続きを終えてから空港を出た。
空港を出るとすぐに見えたのはたくさんの建物と人、そして様々な大きさの車。
自分の故郷、そして今までゴンたちと旅をしてきた中で立ち寄った幾つかの街、そのどれにも当てはまらないような、それでいて洗練されたような場所だった。
飛行場から見た時は山も建物も同じくらいあったが、今居る場所は建物の方が圧倒的に多く、どれもそれなりの高さがある。
ある場所で少し待つとパドキア共和国で乗ったようなバスが停まり、我々を含めた複数の人間を乗せて動き出した。
途中で何度か停車して乗車している人数は次第に減っていき、乗った直後は30人ほど居たが気がつくと半分ほどになっている。
そしてバスに乗る時間が長くなるにつれて少しずつ都会から離れていき、自然の姿が多く現れるようになった。
都会の風景もいいが、やはりこういった自然に囲まれている景色を見ると、少しだけ故郷に似ていて安心できる。
バスはその後も更に走り、20分ほどで終着点に着いた。
オレたちの他にもそこで降りる人はそれなりに居て、先頭に立つ#name#に案内されるがまま我々もついていく。
10分くらい歩いただろうか、少しずつ大きな建物に近付いて行っているのが分かった。
木造のかなり立派な建物、何かの施設だろうか。
そこへ我々も、同じバスに乗っていた客も、最終到達地として目指して進む。
ジャポンに着いた時に#name#は"リョカン"を予約したと言っていたが、おそらく目の前にある建物がそれなのだろう。
それまでずっと前を歩いていた#name#だがここへ来て足を止め、ゆっくりとこちらを振り返る。
「着いたよー!ここが私たちが泊まる旅館!」
「おおっ!」
「すげー大きい建物だな」
「わー!木の香りがしていいね!」
「確かに、ゆっくり出来そうなところだな」
「ほらほらっ、寒いから早く中に入ろう!」
予想通り、この大きな建造物は我々が泊まる場所らしい。
入口の前には見たことがない服を着た女性が何人か立っていて、建物に入る人間一人一人に頭を深く下げている。
見たところこの施設の従業員と思われるが、どの女性も全くブレることなく見事なまでに動作が揃っていた。
その姿に圧巻される我々だったが、女性のおもてなしの挨拶を受けて入口に足を入れる。
そしてある程度のところまで入ると#name#が履き物を脱いで小さな箱に入れたため、オレたちも慣れないことに多少の戸惑いを感じながらも同じようにした。
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