「忍者って、こんなにも強いんですね…」
「逃げられるとでも思ったか」
「いえ、その…」
この前死んだ時投げられたのはクナイという忍者の武器でした。
私の死体はどうしたのか聞きたいけれど以前のやり取りもあった為保管されており、目をさませば首元に包帯が巻かれてあった。とても首がキツくて悪意を感じてしまう。そんな中こっそり逃げ出そうと決意し(殺されてばかりは辛いんです)部屋を抜け出し庭のようなところを全力疾走していたところにあの夜私を牢のような所から出してくれた黒髪の綺麗な男の子に捕縛された。忍者ってこんなに俊敏に動けるのかと逆に感心してしまった。
「ご、ごめんなさい…!見逃してください、お願いします…」
「……」
「私、誰にも話しません。神に誓います、本当です。」
「…ここはお前の住んでいた世界では、」
「?…どういうことですか」
「ここは室町だ。どうせ平成という時代から来たのだろう」
「じ、時代錯誤とかいうやつですか…?忍者の格好してるから色々勘違いしてるんじゃ」
「はぁ、」
「あの、あの、私は…」
「貴様に話すことなどない」
「、でも私は」
「学園長先生、失礼します。」
本当ここに居る人達はお話聞いてくれないですよね。軽く上半身だけ縛り上げられた状態で、この前通された部屋に入れられると初めて見る忍者たちもいて軽く頭を下げたのだが華麗に無視されてしまう。
「よく眠れたかね?」
「あ、はい。ちょっと首が苦しいです…」
「ほっほっ、して先生方どう見る」
「どうせまた同じですよ、早めに処理を…」
「しようにもこうして甦るのじゃ、ならばもう囲ってしまう他になかろうて。」
私をどうするのかを本人の目の前で話し合えるその勇気は素晴らしいと思います。処理という話の流れからして殺すという事ですよね。不運にも程があるし、そんな話は聞いていてとても悲しく思う。
「ごほん、不死の娘よ名はなんと申す」
「え、あ、苗字名前です」
「左様か、ならば苗字よ、今日からお主は学園に置くことに致す」
「や、あの、そう言って頂けるのは有難いんですけど、…その、お断りさせて、頂きたいです…」
「衣食住を与えると申しておるのだぞ?」
「だとしても、私は帰りたいんです…帰り方を教えて頂けませんか?」
帰りたい、家族の待つ私の家に。ジッと見つめると申し訳なさそうに顔を歪めるお爺さんに何故か私の方が胸を締め付けられた。
すると他の忍者たちは眉間にシワを寄せ此方を睨んでくる。
なんだか私が悪い事をしてしまっているかの様な感覚に陥ってしまい「ごめんなさい」と頭を下げるが黒髪長髪の男の子の視線がとても痛かった。
「今更なんですが、ここは…」
「ここは忍術学園、忍を目指す子供達の学びの場じゃ。」
「しのび…」
「いかにも。忍だけではない、くノ一を目指す女子もここにはおる。」
「かっこいい…でも、そういう類のものって戦国時代とかに憧れる人たちの集まりなんじゃ…」
「…名前、お主の時代は平成という年号ではなかろうか?だが、今儂らが生きているこの時代は室町時代という。この意味が分かるな?」
「、え…?」
じゃあ、黒髪の男の子が言っていた事は本当の事で、私は一人ぼっちになってしまってると言う事…?頭の中がグルグルとして来た頃に急に後ろ手に縛られた縄の端をぐい、と引っ張られて体制が崩れる。
「わッ!?え、え…?」
「山田先生、」
「はっ!」
「えっや、やだ!何するんですか!?やめて、やめてっ!」
煩い、そう言われ猿轡を噛まされ、一つ溜め息を溢して学園長と呼ばれるお爺さんはここに留まることを誓うまで私を解放してくれることはなかったのだった。
(お主は湯番をしてもらおうかの)(薪をくべればいいですか?)
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