年下の子からあんな事を言われショックのあまり午前中ずっと仕事にならなくて、そんな私を見たおばちゃんが体調が悪いのかと心配してくれて医務室に行く事を勧めてくれた。
大丈夫と断っても受け入れる事はせず仕事は良いからと背中を押され食堂から追い出されてしまった。


「失礼します…」

「いらっしゃい」

「あ、」


カラリと開けた戸を閉めたくなった、なぜなら開けるとそこにはもめた彼がいたのだ、とても気まずい。
土を投げ付けてそのまま逃走した私です、誰がどう見たって私の方が悪いに決まってる。謝りたかったけど勇気が出なくて一晩明けてしまったのだ。

これは謝るチャンスかもしれない、おばちゃんありがとうございます。


「あの、き、昨日の事なんですけど…」

「どこか具合が悪いのかい。」

「え、や、それより、」

「具合が悪くなければ出て行ってくれないかい」


私に見向きもせずに何やらゴリゴリとすり鉢のようなもので薬草なものを砕いていく。

謝らなければ、謝らなければ彼は私を視界に捉えてくれない。忍のたまごであろうが、毒を一度盛られようがこの学園で一番優しい彼にこれ以上嫌われてしまってはとても嫌だ。


「ごめん、なさい。」

「…」

「私はいつだって自分主義で、優しくしてくれた年下の貴方に甘えてしまい、その、酷い事を言って、土を投げた事も謝ります、本当にごめんなさい…」


嫌わないで、唯一優しい貴方が今の私には必要なんです。
貴方になら毒を盛られたって構わない、いくらでも殺してくれても構わないからお願いだから貴方だけはそんな目で見ないでください。

頭を下げて彼からの言葉を待っていると代わりに深いため息。


「僕の方こそ、あんな事を言うつもりじゃなかった。ただ分かってください、僕たちがされた事やそれに対する思いを。誰もが貴女を恨んでる、それは忘れないでください。」

「その思いは、変える事は出来ないんでしょうか」

「全員が全員。というのは無理でしょう。僅かな人なら、貴女への見方は変わるかもしれない。」

「貴方は、変わらないですか?」

「さあね。僕は変わらないかもしれない、けれど、もしかしたら貴女は良い人なのかもしれない。と考えが変わるかもしれない。全ては時が解決してくれると僕は思います。」

「殺され続けても、私は貴方たちを信じたい。」

「信じる信じないは個人の自由です、人に押し付けなければご自由にしてください。」


そうだ、と、今まで目を合わせなかった彼がこちらを向いて手を差し出してきた。


「僕は6年は組の善法寺伊作です。」


彼は私にそう告げた。そしてそのまま手を握られ、気付いたら医務室から追い出されていた。


(わ、私は名前です!)(知ってますよ)(よ、よろしくお願いします!)(はいはい。)


戸越しでクスリと笑った気がした。