ザックザック、
今日もいつもの様に地面を掘る。
そんな僕を人は穴掘り小僧と呼ぶのだ、別に嫌じゃないし好きでもないその呼び名に僕は無関心でまた蛸壺を掘り続ける。
ふ、と蛸壺を掘る手を止めて土壁を登りきると後輩たちが楽しそうに遊ぶ姿が目に入った。嗚呼、楽しそうだね。
別に思ってもない事を呟いてみると風がぶわり、と吹いて僕の髪をばさばさと揺らしてきた
「つまらない」
再び踏み鋤を担いで蛸壷に足を踏み入れて溜め息をつく。
つまらない。
顔を上げると丸く切り取られた空があって、その空を気持ち良さそうに泳いでいる。
ザクリ、ザクリ、
土を抉って外へと放る。それを何度も繰り返してピタリと止まる。
「飽きちゃった、な」
泥にまみれた髪の毛を揺らしてふらりふらりと学園を彷徨く。ふ、と視界の端に捉えた白に足を止める。
私がここに入学した当初から、白は存在していた。けれど白は私以外には誰も見ることは出来ないらしい存在で初めて滝に誰か、と尋ねた時眉間にシワを寄せて「冗談は思考回路だけにしろ」と鼻で笑ったのを最後にもう白の存在を口に出すのは止めた。
話は戻るが、その白はただ私の視界に捉えられるだけで特に何かしらされることは無かった。
でも今回は違って、気が付けば私の目の前に立っていて白く長い前髪から覗く深紅の瞳が私の瞳と視線がぶつかる。
たらり、と額から汗が垂れる。
「 」
「、え?」
す、と耳の横に手を伸ばされたかと思うと思いきりその手は空を握り締めた。
その時何か言っているようだったけれど口パクで(忍者のくせに)何を言っているのか分からなかった。
ぐしゃりと耳元で拳を握る白は無表情でこちらを見据える。
「 」
「!」
口元を微かに緩ませ、ふ、と一瞬で消えた白にきっとアレは霊的なものなのだと自己完結した。
(その手が掴んだ)(それは闇)
ムコウヘ オイキ
20130216
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