晴天霹靂、とても良い天気の朝に気分も晴れ渡る中やはり私といえば蛸壷を掘ることが趣味なわけで。
相方の踏み鋤のふみこちゃんを担いでどこか良い場所は無いかと徘徊する。授業なら午後からだから大丈夫。キョロキョロと辺りを見回しながらここはだめ、あそこもだめ、と自分の中でバツを付けていく。
いつも掘る場所はあるけれど今日はなんだからそんな気持ちになれないからまたバツを付けてふらりふらりと学園を徘徊。


気付けば立ち入り禁止区域にまで辿り着いてしまい、まあいいか、とその区域に足を踏み入れた。


「…あれ、でも」


こんな所に立ち入り禁止区域なんかあっただろうか。ふ、と立て看板を見ると確かに立ち入り禁止と書かれていた。ふらふら適当に歩いていたからもしかしたらごく少人数の人しか知らない所なのかもしれない。普段は大して興味を持ったりなんかしないのに何故か分からないけれど奥に進まなければいけない、と思い足が勝手に動き出してしまった。

入り込んだは良いがこの場所だけ異様に草木が生い茂りまるで何かを隠しているかのよう。
けれど罠など無いことから重要なものが隠してあるわけでもなさそうだ。


「ん?祠…?」


がさがさて茂みを掻き分けて進むと小さな祠が一つあり、その前にはお団子や饅頭が供えてあった。


「一体何の祠なんだろうか」

「気になるか?」

「えっ、」


今まで一人だった筈なのに不意に聞こえてきた声にびくりと体が跳ねる。
冷や汗を流してゆっくりと声のする方に顔を向ける、


「あ、あなたは…」


そこにいたのは紛れもない、白。
前髪から覗く深紅が私を捉えて離さない。すらりと伸びた手は私の髪を撫でて微かに笑う。


「お主、何時も泥と戯れる小僧じゃな」


髪についていたのであろう木の葉を摘まみ、指で挟んで口付ける。


「泥が喜んでおるわ」


ふ、と風に消えた木の葉に目を見開く。
そんな私を見てまた笑い祠を指差す。


「わたしが知りたいか?」

「……」

「何故小僧はわたしが見える?」

「……」

「此処は、如何様にして参ったのだ?」

「……」


もう何がなんだか分からない、
この人は一体何者なのか、見えるのか、と聞かれたということはやはりこの人は幽霊でこの祠もきっとこの人のお墓みたいなものなのだろう、けれど何故、この人のお墓がこんなところにあるのだろうか。
何か訳ありなのだろう、
微かに笑みを貼り付けた白は未だに私の目の前に立っていて落ちてくる木の葉を摘んでは口付ける。それを繰り返していた。


「……小僧、そなたに忠告をしておこう」


視線は空を向いていて私には目もくれず、絶えず木の葉に指を滑らせ遊ぶ白。


「行きは良い良い、帰りは怖い。…気を付けて帰ることよ」


ちらり、と視線がぶつかる。
深紅が光り目を細める白は言う。


「この生い茂る草木から出るまでは声が聞こえても振り向いてはならんよ」


死にたくなければな、

そう言った白は私の脳に笑みを刻んで消えて無くなった。






(風が吹く)(まるで)(立ち去れと)(言われているみたいに)

あなたはなぜいるの




20130221

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