08
星弥ちんは体育館から出てまっすぐ屋上に向かって行った。
重苦しい空気の中やっとのことでたどり着いた屋上の扉の前。
「ここなんだな?」
星弥ちんは目に見えない何かと喋っている。
そして次の瞬間、ドアを蹴り飛ばした。
ガンッと大きな音をたてて開いたドアは少しへこんでいた。
「ちょっ……星弥っち!?」
「……見つけた」
星弥ちんの指さした先には綺麗な女の子。あんなに綺麗な子を黄瀬ちんは振ったのか。
ドアの開いた音に驚き振り返った女の子は俺達を見るなり驚きで目を見開き、震える口を開いた
「……アンタは……」
「……っ、どうもっス」
「何の用?てかアンタ誰?」
その子は黄瀬ちんの隣に立つ星弥ちんを鋭く睨みつける。
怒りの矛先が星弥ちんに向かなければいいが。
『私は柳瀬星弥、君は?』
「私は、遠野 雪蛍 」
「遠野さん、黄瀬に呪詛しかけたのって君の仕業?』」
「そうよ。私、ソイツのこと好きだったのに……。ただ思いを伝えたくて勇気出したのにッ……、何も! 何もあんな言い方っ!!」
「そっか……、でももう呪詛は使っちゃだめだ。
呪いっつーのは危険なんだ、呪詛が返ってくれば君が死ぬから」
ヒュッと遠野さんが息を呑む音が聞こえた。
どうやらリスクを知らかったらしい。
「そして、黄瀬も後もう少しで死ぬところだった。紫原だって……、もし紫原が怪我でもしてたら迷わず君に呪詛を返してた。紫原は私の唯一の友達で、親友なんだ」
「ごっ、ごめっ……なさっ…………。人が死ぬようなものなんて思ってなくてっ、ちょっと痛い思いすればいいと思って……。ほんとにごめんなさいっ…………」
「こっちの方こそ……ごめんなさいっス……」
「一件落着、だね」
しんみりとした空気の中この事件は幕を閉じた。
しかし、俺はなんとなく察していた。
こんな空気の中で星弥ちんは場違いで空気の読めないようなことを考えていると。
「終わった?終わったよな?はやくマジバ行こう、私腹減った」
ほらね、星弥ちんは今日も通常運転だ。
2014.12.04 完成
2016.06.16 加筆修正
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