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緑間目線


その日のおは朝は12位だった。

自主練終わりにボールを入れていた籠が壊れボールが散乱してしまいそれを片付けるのに予想以上に時間をくってしまった。
ラッキーアイテムを持っているのにもかかわらず最悪だ。

街灯の少ない住宅街の中、急いで帰路に着いていた。
しばらくした所で後ろから奇妙な音が聞こえ出した。
何かを引きずるような音。
明らかに住宅街には不釣り合いな音だ。



「………まったく、なんなのだよ……」



俺には昔から人には見えない物が見えた、しかしこの事はずっと誰にも打ち明けず心の中に秘めていた。
故にこのあいだ柳瀬にそれを指摘されたのは焦ったが。
小さい頃、交通事故を間近で見て以来ずっと見てきた。
ただそこにいる者、人に憑く者、だれかれ構わず害意や悪意をまき散らす者、だからこそわかった。

今うしろにいるモノは明確な殺意を持っている、そしてその殺意を俺に向けている、と。

ここまであからさまなものを向けられたのは初めてだ。
うしろの気配に意識を集中させる。


ズルッペタ ズルッペタ ズルッペタ ズルッペタ


耳を塞ぎたくなるような不気味な音。
よく聞いてみると音の間隔がだんだんと狭くなっていっている。

”このまま立ち尽くしていてはいけない”

俺の全神経がそう悲鳴を上げるが体が動かない。



「くそっ……恐怖を感じている暇などないのだよッ」


ピリリリリッ



携帯が鳴った瞬間、体の硬直が解けた。
逃げるなら今しかない。
家まではまだ遠い、家に逃げ込むことより人通りの多い道を目指した方が得策か。

全力で走り出す。

俺が走り出すとほぼ同時にうしろの奴も走り出した。
足がもつれる、心臓が張り裂けそうだ。

だが、死にたくない。

その一心で足を動かし続ける。







やっとのことでたどり着いた大通り。
安心し座り込みたくなるのを必死に抑える。
深呼吸すると少し気持ちも落ち着いたような気がした。



「あれ?緑間っちじゃないっスか〜!」

「……黄瀬か」

「あれ〜?顔色悪いっスよ?大丈夫っスか?」



黄瀬の能天気な声にこれ程まで安堵感を覚えたことがあっただろうか。
ふと俺がさっき走ってきた路上の方を見ると、

上半身しかないセーラー服を着た女がこちらを睨んでいた。





2014.12.06 完成
2016.06.17 加筆修正


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