「おっすー、全員揃った?」

「うん、居るよー」

「今回はお招き有難うございます、お鍋の具を少しですが買ってきました」

「俺もなのだよ、菓子も買った後で食べるといい」

「和牛買ってきたっスよ!!」



じゃあ行こうか、私の家そこだから、と指さされた先を見ると俺達は硬直した。
そちらには思っていたような一軒家やアパートは無く、駅前の高層高級マンションがあったのだ。



「星弥ちんってお金持ちなの……?」



と零すと返事を濁された。
また、隠し事か。俺を親友と呼ぶのであれば教えてくれてもいいのではないかと思う。



「ほら、さっさと行こう。鍋が待ってる」







部屋への道中、黒ちんがふと俺達に問いかけた。



「そういえば、皆さんお鍋の具は何を持ってきたんですか?」

「ハリハリ鍋のための水菜なのだよ」

「ちゃんこ鍋の鳥団子だよー」

「すき焼きのための和牛っスよ!」

「僕は普通に白菜なんですが」



長く重い沈黙が続く。バチッと絡み合う俺達の視線。



「おーい、着いたぞ。ここ私の部屋」

「ハリハリ鍋なのだよ」「ちゃんこ鍋だよ!」「すき焼きっスよ!!」

「なぁ、聞いてんの?」

「落ち着いてください、なんでもいいじゃないですか」

「なんでもよくないのだよ!」
「なんでもよくねーし!」
「なんでもよくないっス!」



そして男たちの熱い戦いがはじま………



「なぁってば!!話聞いてる!?」

「てめぇらうるせぇ!!」



……始まらなかった。
突然の乱入者に星弥ちん共々目を丸くする。




「に、虹村先輩!」

「ほら、お前らが騒ぐからにじむーさん出てきちゃったじゃん」

「おめーもうるせぇんだよ」



そうか、主将と星弥ちんは家が隣同士なんだったか。
うらやましい。
なんかもう鍋とかどうでも良くなってしまった。
俺も星弥ちんの隣がいいしー。おはようからおやすみまで一緒がいい。



「つかなんでお前らがここにいるんだよ」

「鍋ぱーてぃーするんだよ!」

「良かったなーお前ずっとしてぇって言ってたもんな」

「へへへ……」



何だこのほんわかムードは。俺達を放置していい感じの空気になるのはやめていただきたい。
というか虹ちんなんで星弥ちんの頭なでてるんだ。



「あの……虹村さんのお宅は柳瀬の家の隣なんですか?」

「ああ、そうだ」

「そういえば緑間くんは知らないんでしたね」

「デザートバイキングの時いなかったもんねー」

「にじむーさんも鍋ぱーてぃー来る?」

「お前”パーティー”の発音が壊滅的だな」



主将、そこは今まで誰も触れないようにしてたのに。
指摘したら可哀想かなと思って避け続けてきたというのに。



「う、うっせ!で、来るの?来ないの?」

「あー………用事あるから行けねぇ………」

「……ふぅん」



ジトリと主将を睨む星弥ちん。
幼馴染みにしか通じ合えない何かがあると言うのだろうか。



「……プリン、冷蔵庫ん中入ってる?」

「ああ………」



本気で意味がわからないが、取り敢えず二人が仲がいいということは十二分にわかったので泣いてもいいだろうか。




2015.01.20 完成
2016.08.24 加筆修正


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