ついていく
信徒についていくと、建物の前で止まった。チラリと入り口から覗くと、赤の教会のような内装だった。赤の教会と違うのは、真ん中に赤いカーテンが下げてあって、十字架は見えない。
ここに居るのか尋ねようと思ったら、信徒はすでにいなかった。
そっと中に入ると声が聞こえた。
「そんなとこで何してんの?」
驚いたが背後にはいない、よく見ると赤いカーテンのところにウィリアムが立っていた。しかし、こちらには背を向けている。話しかけていたのは別の人物だ。
「なんでここにいるんだ...」
「誰もお手伝いさせてくんねぇから、お前がいそうなとこ探した!」
大きなため息が聞こえて、誰か立ち上がった。道化師だ。この二人は試合では喧嘩するように戦っていて、仲が良いとは思えなかった。それでもウィリアムはこの「道化師」を探しに来ていたようだ。
「なんのようだ」
「用は特にねえけど...そうだな...」
ムスッとした顔で用件を尋ねられて、ウィリアムは両腕を組んで考える。唸り声をあげていたかと思えば、思いついたとばかりに笑顔を浮かべる。
「時間あるし、地下でセックスでもしとく?」
「どう考えたらこの短時間でそうなるんだ!」
聞き取った言葉が脳味噌で聞き取れず、頭の中で混乱する。この二人って一体どう言う関係なんだろう。
「今日、一緒になかなか入れそうにねえから...今なら時間あるし!」
「勘弁してくれ...はぁ...」
道化師は呆れたように言いながら、自身の額に手をつける。
「...ちょっと一緒にいたいなって思っただけじゃん」
ボソッとウィリアムが言った。その瞬間、腰に手を回し、道化師がウィリアムを引き寄せる。
「今夜、部屋に来ればいいだろ」
「...今のはドキッとした。これ女の子イチコロじゃん!」
「お前だけでいい」
「え、俺のダーリンってマジでイケメンじゃん!」
ウィリアムが道化師の首に両手を回し、ぎゅっと抱きつく。脳に伝わる情報をうまく処理しきれず、状況についていけなかったがどうやら二人は恋人のようだ。
「ところで、今さっき隠したのは俺へのプレゼント?」
「...見てたのか」
「大きい背中丸めて一生懸命隠してんだもん!そりゃ何してるか見ちゃうって!」
「それは...今夜の楽しみにしといてくれ」
「じゃぁさ.....」
ウィリアムがなにか言っているが聞こえない、もう少し近づけば聞けそうだ。そっと忍ぶように近づこうとしたが、肩を叩かれた。
振り返ると信徒が唇に指をあてて、しーっと音を立てる。そのまま手を引かれ、教会からこっそりと抜け出す。
外に出ると信徒が手を離した。
「そうだよね、邪魔しちゃいけないよね」
静かに頷いてそのままどこかへ歩いていく。ひとまず、エミリーにいた事を伝えようと噴水の広場へ戻ろうと歩く。
気配が消えた、さっきまで誰かがいたようだ。少し距離はあったし、会話が聞こえてなければ良いと思った。きっと、ウィリアムは「そんな事気にしないでいいじゃん!」とか言いそうだ。
「じゃぁさ...結婚する?」
「結婚?」
「そ、折角教会だし誓うのもありじゃん?」
「何にだ?」
「神?」
「神に誓って意味のあるもんか?」
「そういうもんじゃねぇの?」
ウィリアムが面白そうにケラケラと笑う。冗談半分本気半分ってとこだろう。首に回した手を外そうとするウィリアムに顔を近づける。ウィリアムが少し驚いたように目を見開く。
「ウィリアム・エリス、結婚してくれるか?」
「え、ええ?!マジでやってくれんの?!」
言い出しっぺの癖に動揺している。顔を真っ赤にして慌てる目の前の男に愛おしさが込み上げてくる。
「もちろん!はい!イエス!」
「ハハハッ、勢いがいい」
外しかけていた手を再びぎゅっと首に絡めて抱きしめられた。
「ジョーカーは?」
「ウィリアム、君が望むなら...ここにいてくれ、永遠に!」
「引き止めるあり!」
お互いに目が合い、笑う。笑いながら少し乱暴に唇を奪う。それに答えるようにウィリアムが首に絡めた腕をぎゅっと引き寄せた。
-HAPPYジョオフェ END
「引き留める」あり!-
その後ってどうなったんだろう...?
少し前に時間が戻ったらいいなぁ
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