どうか、



不毛な恋をしていると思う。


「…あ」

俺はいつもコートの端にいる君にまっさきに気がついて手を振ろうとするんだけど、

「白川っ…」

君の目はいつも俺を見ていなくて。
代わりにいつも君が一心不乱に彼を見つめていることに気づかされる。
透明な視線の先、それよりもさらに透明で希薄な彼。

…なんで俺じゃないんだろうと思った。

ただひたすらにひたむきな視線を彼に送る彼女の姿が、愛しいと同時にひどく悲しくて、胸がズタズタに引き裂かれるようだった。
泣きたいような気持ちに駆られながら、それでも俺はいつもみたいに明るい笑顔で彼女に手を振った。

「白川っちー!!」


どうか、俺のことだけを見てください。
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