過去拍手【佐助】



「―っつっかれたー…ん?」

他国の使者との面談を終え自室へ戻ってくると、文机の上に何かおかれていた。

「…ハナミズキか」

手にっとったそれは、ハナミズキの一枝だった。
薄紅色の花をつける一枝には、白い文が括り付けられている。
文には見覚えのある几帳面な字で、こうつづられていた

“ハナミズキ 今年もきれいに咲いた”

一緒にまた見に行こうという誘いの文である。
差出人は書かれていなかったが、すぐに誰からのものであるか分かった。
というか、こういうことをするのは彼ぐらいだ。

「ほんと、内気だなぁ」

たまには直接さそってくれればいいのに。
そう思い苦笑する。
しかし、それも一瞬のことだった。

「まぁ、でも…」

こういう彼の恥ずかしがり屋なところが好きなんだよな。

顔をほころばせてそっと花弁に唇を寄せると、控えめだがやわらかい香りがした。


ハナミズキ
(私の想いを受けてください)
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