飛行船が壊れてやっと地上に下りることが出来た。
軍の人たちが私達を追ってきていた。
逃げてもよかったが、間違えて撃たれるぞと言われたので大人しく着いて行くことにした。
低体温症で死ぬとこだったが百ちゃんが鹿を撃ってくれて何とか生き延びた。
鹿の毛皮の中で百ちゃんとお話することにした。
白石と一緒に鹿に入ったらなにされるか分からないからダメだと、ㇼパちゃんに言われた。
「…狭い」
「白石の所に行けってこと?!」
「そうは言ってない」
背中に百ちゃんの体温を感じながら、百ちゃんがいなくなってからのことをかいつまんで話した。
百ちゃんは相槌を打つこともなく、ただ私の話にじっと耳を傾けていた。
夕張では百ちゃんとニアミスしていたようでビックリした。
世間狭いなぁ…
「…変わったな」
「そうかなー?自分じゃあんまり分かんないや」
「そうかよ」
「百ちゃんは寂しくなかった?」
「…」
「私は寂しかったよ」
色んな人と仲良くなったけど、やっぱり接触の多かった百ちゃんがいなくなったことは結構寂しかった。
兵舎内で初めて私に話しかけてくれたのは百ちゃんだった。
軍人に絡まれていた時に何度か助けてくれたのも百ちゃんだった。
つるみちゅの指示だったとしても私は嬉しかったのだ。
全て仕組まれていると、頭では理解はしていた。
「お前には鯉登少尉がいただろ」
「でも百ちゃんじゃないじゃん。百ちゃんはこの世に一人のオンリーワンなんだよ?」
「…はあ」
「一人が欠けた穴を誰かで埋めるなんてこと、私にはできないから」
誰かを失った穴は、私が時間を掛けて埋めていくしかないのだ。
誰かをそこに当て嵌めるなんて、失礼なことを私はできない。
私の腹に回っていた百ちゃんの腕がぎゅうと締まった。
「とにかく、百ちゃんが元気そうでよかった」
「俺のことは聞かないのか」
「予測は出来るからいいかな…敵対勢力の所で用心棒でもやってたんでしょ?」
「…そんなところだ」
もっと喋りたかったけども、睡魔が襲ってきてそのまま私は眠ってしまった。
一気に色んな事があって疲れてしまった。
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