30



「花宮くんと付き合うことになったよ〜」
「そうか。よかったなぁ」
「うん。ありがとね」

今吉が笑ってた。
だから私も笑った。
ありがとね、今吉。
ほとんどは今吉のおかげなんだと私は思うよ。

「由奈」
「お、噂をすれば彼氏様のご登場や」
「その言い方やめろ」

花宮くんが嫌そうな顔をしていた。
やっぱりこの三人でいると安心するなぁ。
そう思ってちょっとだけ笑った。

「花宮に泣かされたらワシんとこ来てもええんやで〜」
「うん。そうするつもり」
「おいふざけんな。勝手に決めてんじゃねぇよ」

花宮くんが私の腕を掴んで言った。
花宮くんも大概冗談が通じないよね。
まあそういうとこがいいんだけどさ。

「次、授業だから行って来るね」
「…俺も行く」
「花宮くん暇なの?」
「てめーがちゃんと授業受けてんのか見に行くだけだよバァカ」

授業ぐらいちゃんと受けてるし!
花宮くんは私のことをなんだと思ってるんだ!
子供扱いしすぎだよ!

「他の男に取られないか心配しとんねんなぁ」
「は?!ちげーよ!変な言いがかりやめろ」
「そうだったんだ…」
「由奈も納得すんな。早く行くぞ」

今吉鋭いなぁ…花宮くんのことよくわかってる。
流石付き合いが長いだけあるなぁ。
花宮くんが私を置いてさっさと行ってしまう。
酷い…てか私の授業なのに…

「ほな、またな」
「うん。またね」

今吉に挨拶をして、花宮くんを追いかけた。
私が近付くと花宮くんが私を見て笑った。

「遅ぇよ、バァカ」

花宮くんが笑っていたから私も笑った。
私、今凄いいい笑顔してると我ながら思う。
花宮くんが私の手を引っ張った。
少し冷たいその手を私はとても愛おしいと感じた。
多分これからもこんな感じで毎日が過ぎていくんだろうな。
そう思うと自然と頬が緩むのだった。


 

ALICE+