「うわ、緊張してきたやっぱり出るなんて言わなきゃよかったかな」

「へへへ!俺の演奏講堂中に鳴り響かせてやるぜ!」

「おい、アンサンブルなんだぞちゃんと周りと合わせろよ?」

部員達が今から始まるレギュラー選抜に期待と不安でいっぱいになりながら
緊張をほぐそうとして深呼吸したり瞑想したりしている。


「ずいぶん生徒が集まってきていますね客席にはオケ部の部員ではない生徒もいるようです」

「別にいいだろ
どうせ全国大会ともなりゃ大観衆がいるもんだ
それともお坊ちゃんは観客がいるとびびって弾けないとか言い出すのか?」

「…まるで幼稚ですね
挑発のつもりなら、もっと独自性を勉強して来て下さい」

「なんだとコラ!」

「こらこら、つかみ合わない
学校内で暴力沙汰なんて起こしたら大会に出られなくなるだろ?

律だいたいどのアンサンブルも準備できてるみたいだ演奏順どうやって決める?」
「順序がどうであっても演奏内容に影響はないはずだ厳正に決めさえすればいい これが最もシンプルな手段だ」

「クジだ先端に数字が書かれている各、アンサンブルの代表者が1枚ひくように」
「うわ、定規でぴっちりまっすぐに作ってある水嶋君がつくったの?」

「厳正さは保証します」

「たしかに不正の入る余地はひとかけらもなさそうだ」

水嶋が作ったくじ引きで代表者がひいていく誰が自分の演奏前後だとか気にして

「さて、うちはどうかな?ひなちゃん引いてみてよ」
「はい!」
「…13番」
「おい、えらい不吉な数引き当てたな」
「全部で13組
お前達が今から最後の演奏だ」

「仕方ない
しばらくは観衆に徹するしかなさそうだね」

「つーか、13組って多すぎねぇ?オケ部って何人だよ」
「40人幽霊部員を除けば全員参加みたいだな」
「ぜ、全員!?ティンパニとかもいるのか」
「ま、お祭り騒ぎになってるの否めないけど出たいんだよ皆
全国のステージに上がってあの銀のトロフィーを持ち帰るヒーローになりたいだろ?」
「………そうかぁ?
やっぱ星奏 ってよくわかんねぇ」

オケ部の部員達のアンサンブル演奏が続いている

「うんなかなかいいな
原田と村上さんは1週間前からずいぶん上達している」
全国大会へ出たいという部員達の熱意が伝わってくる

「校内選抜が皆にとっていい刺激になったみたいだ期待以上の収穫だな」

「先週からどんだけ上手くなったかしんんねぇけどさ 驚くほどのレベルでもねぇだろ 星奏オケ部もこの程度で全国でるなんて無謀じゃねぇの?」

「ふふ、手厳しいな
だが次の演奏を聞いてもそう言えるかな?」

「次?」

「次は部長、鳳先輩と僕の演奏です
オーケストラ部を侮辱する発言が二度とできないように完璧な演奏をお見せしましょう」

「ハッ完璧なんてよく言うぜ
肩肘張りすぎて部長様たちの足引っ張るのがオチじゃねぇの」

「よくもそんな口を!」
「水嶋挑発にのるな
訴えたいことがあるなら演奏で示せ
響也、お前もだ演奏者の気持ちを逆撫でして妨害するな」

「へいへい黙ってりゃいいんだろ」

「そうだ黙って聞いてろ
それがマナーだ」


「……」
十字架のネックレスを握って深呼吸
どうかうまく演奏できますように
大丈夫大丈夫、3人頑張ってきたのだから宍戸さん私はあなたに聞いて欲しいです。

「鳳さんは何を?」

「ああ、気にしないでくれ彼女のルーティーンみたいなものだから」