嫉妬

「あぁんっ…!蘭ちゃんっ、イくっ…!」


部屋に入った瞬間に聞こえてきた喘ぎ声にピキリと額に青筋が浮かぶ。隣にいる竜胆は「まーた兄ちゃん女連れ込んでやんの」と小さなため息を零して靴を脱ぐとそのまま玄関を上がった。
蘭ちゃんのばか。女と遊ぶのは別に構わないけどレンのいないところでヤってねって散々言ってるのに何でこんなに学習能力ないの?ばかなの?それともわざとなの??


「蓮華?」


立ちすくんだまま動かないレンに竜胆は心配そうに顔を覗き込んでくる。竜胆はこんなにも優しいのに。おんなじお兄ちゃんでも蘭ちゃんとは大違いだ。そのまま竜胆の唇にちゅ、と触れるだけのキスをすると、竜胆はにやりと口角を釣り上げてミニスカートの中に指を忍ばせる。


「なーに、兄ちゃんがセックスしてるから興奮してんの?」
「んぅ…ちがうもん、」
「違わねーだろ。もう濡れてるし」


紐パンがするりと地面に落ちていく。竜胆はニヤニヤしながらしゃがみこむと、れん〜スカート自分で持って〜って上目遣いでお願いしてきて、仕方ないなあ。とスカートをぺらりとめくり上げる。


「ねえ、れんチャンのエッチなお汁、もう太ももまで垂れてきてるよ?」
「んんっ…りんちゃ〜ん、早く舐めてぇ」
「ははっ、わがままな妹だなあ」


ちゅっと軽くアソコにキスをされてからゆっくりと割れ目を左右に開かれると、じゅるじゅるといやらしい音を立てながら思いっきり吸い付かれて「あぁんっ」と大きな喘ぎ声が漏れる。アソコをぺろぺろ舐められたり、かと思えば思いっきり吸い付かれながら大好きなクリトリスもくにくに指で弄られて、頭の中が真っ白になるくらいきもちいいでいっぱいになる。


「ぁんっ…そこ、だめぇ、」
「れんちゃんのおまんこ、めっちゃ甘くておいしーよ♡」
「んんっ…やっ、そこ舐めちゃ、だめぇっ」
「ん〜?ここが好きなんだろ?兄ちゃんは蓮華のことならなんでもお見通しなの♡」
「あっ、ダメダメダメダメっ、りんちゃっ…イッ…くっ!」


視界がチカチカと点滅する。ぶるっと身体を震わせながら絶頂すると、脚がガクガクして倒れこむレンをふわりと竜胆が抱きとめてくれる。


「ねえ、レンも竜胆のおちんちん舐めたい…」
「ん〜?りんちゃんって呼んでくれたらいーよー」
「りんちゃんフェラさせてーおねがぁい」
「ははは、い「いわけねーだろ、ばか」


え? と竜胆と2人で声のした方に視線を向けると、髪をおろして上半身裸の色気むんむんの蘭ちゃんと、その隣にドン引きした顔をしているいかにも事後ですって感じの雰囲気を纏ったケバい女が立っていて、竜胆がちぇーっと舌を出して残念そうな顔をしながらレンからスッと離れる。


「りんちゃーん。れんちゃーん。蘭ちゃん抜きで2人でお楽しみとかひどくなーい?兄ちゃん仲間はずれじゃん。悲しくて泣いちゃうー」


えーん。えーん。とわざとらしく泣き真似をする蘭ちゃんに竜胆は「別にいいだろ。兄ちゃんだってそのオンナとさっきまでお楽しみだったじゃん」とクールに突っ込みながら玄関を上がるとすたすた歩いていく。


「ん〜?なんか竜胆不機嫌〜?」
「…別にィ」
「妹にフェラされんの邪魔されたからムカついてるんじゃない?」
「うっせーブス殺すぞ」
「ブ、ブス〜!!??」
「竜胆〜。トイレでソレ抜いてこいよ〜」
「うるせー黙れ兄貴」
「えーん。りんちゃんが反抗期〜」
「ちょっと蘭ちゃん!アンタの弟にブスって言われたんだけど!信じらんない!蘭ちゃんからなんか言ってやってよ!」
「あ?事実だから仕方なくね?」
「はーーー!?!?」


目の前でヒステリックに騒ぎ出すケバ女と、めんどくさそうに髪をいじりながら右から左へ聞き流している蘭ちゃん。痴話喧嘩なら外でやってくれ。うるさくてたまらん。床に落ちている紐パンを履いて玄関を上がるとすかさず蘭ちゃんに腕を掴まれてそのままキスをされる。隣にいるケバ女がぎゃあああ!と悲鳴を上げて眉を潜める。マジでうるせー死ねブス。


「嫉妬したの?」
「…ねえ蘭ちゃん。もしかしてわざと?」
「俺、オマエの嫉妬してる顔かわいくてちょー好きなんだよね。めちゃくちゃ興奮する」
「…あんまり意地悪すると、レン泣いちゃうよ?」
「泣いちゃうの?そしたら兄ちゃんが慰めてあげる♡」
「……蘭ちゃんのバーカ、」
「兄ちゃんのこと嫌いになっちゃった?」
「…ううん、愛してる、」


そう言うと嬉しそうにふわりと笑った蘭ちゃんにぎゅーっと抱きしめられる。
れん〜愛してる〜オマエの嫉妬してる顔見たいからこんなタイプじゃないオンナでも抱けるんだよ〜俺頑張ったんだよ〜えらいだろ〜?兄ちゃんによしよしして〜
ぐりぐり胸に顔を擦り寄せて甘えてくる蘭ちゃんがかわいくて愛おしくて、さっきまでのイライラしていた気持ちがスーッと綺麗に消え去っていく。結局なにがあってもお兄ちゃんことを嫌いになんてなれるわけないし、愛してるなんて言葉じゃ言い表せないくらい、蘭ちゃんと竜胆はこの世の誰よりも大切な存在なの。


だって、世界でたった2人しかいない、レンだけのお兄ちゃんなんだよ?


「っさいってー!マジきもい!近親相姦とかありえない!死ねクズ!」
「はいはいなんとでも言えよブスーもう二度と俺の前に現れんなよ?」
「言われなくてもっガハッ…!!」


ケバ女を思いっきり蹴り飛ばすと、ドンっと大きな音を立てて壁にぶつかったケバ女がお腹を抑えながら呻き声を上げる。そのまま頭を脚でぐりぐり踏みつけると、蘭ちゃんがヒューっと口笛を吹く。


「ね〜〜〜お姉さぁぁん」
「グッ…アガッ…!!」
「まさかとは思うけどぉ、レンのお兄ちゃんに“死ね”なんて言ってないよね〜?」
「い゛っ、」
「聞き間違いだよねえ?そうだといいな〜もしそうじゃなかったら〜

このまま二度と外に出れねーツラにしてやるからな」
「いっ、言ってないです、そんなこと、言ってないっ、」
「そ?じゃ、“ごめなさい”はー?」
「ご、めんなさ、い」
「はーいよくできましたあ」


ニッコリと微笑みながらそう言うと、顔を青ざめさせたケバ女がふらつきながらレン達の家から出て行く。
すぐに蘭ちゃんが面白そうにニヤニヤしながらぎゅーって抱きついてきて、竜胆が「なんかスゲー音したけど何事?」とトイレから出てきた。


「竜胆〜。れんが兄ちゃんのためにガチ切れしててマジで感動した〜。ちょー嬉しい。これでこそ真実の兄妹愛だわあ」
「なんかよく分からんけど兄ちゃんがめちゃくちゃ機嫌良いのは分かった」
「りんちゃーん、トイレでオナニーしてたの?」
「うん。どっかの誰かさんに邪魔されたから」
「え〜?そんな酷いことするやつ誰だ〜?」
「オマエだよ!」
「じゃあ今日の夜エッチしよ〜フェラできなかったお詫びにご奉仕もいーっぱいしてあげる♡」
「え?マジで?やったー。れん大好きー♡」
「レンもりん大好きー♡」
「は?!じゃあ蘭ちゃんも仲間にいれて!!!!!」
「「やだ」」
「…2人とも反抗期?兄ちゃん泣くよ??」


また泣き真似をし始めた蘭ちゃんに2人でケラケラ笑う。今日は朝までコースだろうなあ。