お久しぶりです。前世で通り魔に刺殺されたらまさかの大人気少年漫画「呪術廻戦」の世界に転生していた不幸なのか幸運なのかどっちなんだよ!?的なオタク系女子だよ☆みんな覚えてる?


そんな私も今じゃアラサー。毎日社畜と化し日々多大なる仕事の量に追われている。今の私の頭の中は呪術廻戦のキャラのことと今すぐ寝たい ただそれだけだ。
生さしすせとナナミンと奇跡的に遭遇して以来、私は一度も呪術廻戦のキャラ達に遭遇していない。なぜだ。なぜなんだ。何度も神に祈った。伊地知でもなんでもいい(失礼すぎる)私を呪術のキャラに会わせてくれ!
だけどやはり神は存在しなかった。


それから無情にも10年以上の時が過ぎ、友達のいっちゃんは結婚して最近かわいいかわいい天使が産まれた。
このまま私は死ぬまで呪術のキャラに遭遇することはないのだろうか?あの奇跡のように美しい顔面をもう二度と拝めない…?


「あの…」
「……」
「あの、すいません…」


やばい少しばかり意識が飛んでしまっていた。ハッとして声のした方に振り向いて、死んだ。


「ハンカチ落としましたよ?」


美しい黒髪のロングヘアー。目尻がとろんと垂れていて泣き黒子と高専の時にはなかった目の下のクマがまたとてつもない色気を醸し出している。お久しぶりです、硝子さん‼‼つか美人すぎねーか?高専の時は童顔美少女で今は美人女医ってなんなの?無敵なの?
周りの野郎どもが鼻の下を伸ばして硝子さんのことを見ている。…絶対モテるよなあ。めちゃくちゃ理想高そうだけど。(なんせあの夏五をクズ呼ばわりしているくらいだし)


「ああああああありがとうございます…!!」


やばっ興奮しすぎてめちゃくちゃ吃ってしまった。しかも手が震え過ぎて硝子さんから受け取ったハンカチをまた落としてしまうという始末。そんな私の挙動不審すぎる行動に、硝子さんは一瞬キョトンとして、そしておかしそうにクスクス笑いながらハンカチを手のひらに握らせてくれた。いやまじで天使?天使なの??つかめちゃくちゃ良い匂いするんだけど…


「…硝子」


少し不満気な声色が聞こえた瞬間、ふわりと後ろから硝子さんを包み込むように抱きしめる希ちゃんに、死んだ。
高専時代も人間離れした美しさだったけど、大人になった希ちゃんはその美しさにより磨きがかかり、本物の女神になっていた。いやまじで。つかなんだよその透き通るような肌と色素の薄いさらっさらの髪の毛は。もはやこの美貌は人間じゃないな??


「戻ってきたら硝子が居なくなってたからどこにいるのかと思ったら…」
「ああ、ごめん。LINEすれば良かったね」
「んー。キスしてくれたら許す」
「ばか。こんなところでするわけないだろ」


ブッッッ!思わず鼻血が吹き出す私を虫ケラを見るような目で見てくる女神様にドキドキ胸が高鳴る。(決して私がマゾなわけではない)
対する硝子さんはギョッとした顔で私を見て、すぐに「大丈夫?」と心配までしてくれて。(まじで天使)
咄嗟に蚊の鳴くような声で「だ、大丈夫です…」と応えたけれど、本音は全くもって大丈夫じゃない。いやだってこんなところでって硝子さん…2人きりだとキスするってことですよね!?そうですよね!?!?てか今更だけど2人とも同じ匂いがするんだけどもしかしなくてもお揃いの香水使ってますね?なんなの萌える!ラブラブやっほい!!キュンを通り越してギュンってするわ!!!周りの野郎どもが美と美の共演にうっとりしながら清家に見惚れている。うん、痛いくらい気持ち分かるよ。まじで美人だよね2人とも。


「ほら、もう行くよ。今日はせっかく2人きりのデートなんだから」
「はいはい」


呆れた顔をしている硝子さんにぎゅうと自分の腕を絡める希ちゃん。そしてあろうことか後ろを振り向いて、私に向かってベーっと舌を出してきた。…え、まさかとは思うが女神様、私なんかに嫉妬してるの?嘘だろ?クッッッッソかわいいな!!!てか硝子さんに落としたハンカチを拾われて希ちゃんに嫉妬される人生って勝ち組でしかないね????


すいません
やっぱり神様は存在したみたいです。