突然だが、私は明日死ぬのだろうか。
いや一度死んでるけど。死んでますけど。

だって信じられる?
あの“五条悟”よりモテる=実質、呪術界1のモテ男なんじゃないかともっぱらオタの間で噂になっている“夏油傑”に今現在、頭を撫でられているのだから。いや自分自身が一番信じられない。これはもしや夢なのか?まさかの夢オチなのか??だったら一生醒めないでくれ頼むから。


呪術の公式cp。五清の公開イチャイチャを目の当たりにした奇跡の日から早数ヶ月。私は相も変わらず仕事に追われる日々を過ごしていた。
一週間の出張が無事に終わり新幹線に揺られながら疲労困憊の私はあっという間に夢の世界に旅立ち、アナウンスの声でハッとして重い瞼を開けた。
東京駅に着いて寝起きの状態で何となくまだ頭がふわふわしていた私は、慌ただしく行き交う人々に人酔いしてしまい、うっ…とその場にしゃがみ込んでしまった。その時だった。頭上から「大丈夫ですか?」と心地良い声が聞こえてきたのは。


え…と顔を上げて、死んだ。違う意味(?)で死んだ。嘘でしょ…いやまさか、本当に?


「だだだだだ、だい、じょうぶ、です…!」
「いやでも…顔色が「大丈夫です!本当に!ご心配いただきありがとうございます!」


勢いよく立ち上がって食い気味に大丈夫だと言い張る私に“夏油傑”は若干眉を下げて困った顔をしているけれど、本当に夏油傑のあまりの美しさに気持ち悪さなんてどこかに吹き飛んでしまったのだ。いやマジで。はじめてこんなに間近で生 夏油傑を見たけどめちゃくちゃかっこいいですね。何もかもが綺麗。美人ってこういう人のことを言うんだろうなぁって思う。
ぽーっと夏油傑に見惚れていると、夏油傑は何を血迷ったのか私の頭を優しく撫でながら「無理はしないで下さいね」と心配そうに私の顔を覗き込んできて、どきゅんっと私のハートはいとも簡単に撃ち抜かれてしまった。いや私は五条の女、五条の女、と必死に言い聞かせている時点でもはやアウトな気がする。違うの五条、決してこれは浮気なんかじゃない…!夏油傑があざとすぎるのが悪いの…!!!


一人五夏の間で揺れている私は、気付けなかったのだ。夏油傑の後ろにいる女神様に。


「すぐる〜なぁにナンパなんかしてんのぉ?」


夏油傑を後ろから抱きしめる女神こと、清宮希。いやまさか五清の次に夏清の公開イチャイチャを拝めるなんて…やっぱり私、明日死ぬのでは??


「…希。久々に会って第一声がそれ?」
「だって事実じゃん」
「誤解だよ。体調が悪そうだったから声を掛けたんだ。だから拗ねないで。ね?お願い」
「……狡い、バカ傑、」
「そんな私は嫌い?」
「大好きぃ…」


ブッッッッッ!
やべ油断したら鼻血でるいやマジで…。周りの人たちの視線が一斉に夏清に集まる。


「なにあの美男美女…」
「あのカップル顔面偏差値高すぎない…??」


ですよねー!そうなりますよね!五清の存在を知らない人から見たら夏清なんてただの美男美女カップルだからね!五清がお似合いなのは百も承知だけど、夏清も本当にお似合いなんだよぉぉぉ。ていうかさしすせの顔面偏差値が全員アホみたいに高すぎてどのCPも本当にお似合いなんだよ…。中身はどうあれ顔だけ見たらみんなただの天使だからな…。


「悟と硝子、夜には仕事意地でも終わらすって〜」
「はは、伊地知が泣いてるのが頭に浮かぶよ」

「ねえ、傑…」
「ん?なんだい?希」
「ずっと会いたかった…本当に大好き…大好きなの、傑…」
「…私も大好きだよ。希」


嘘だろ信じられる…?これで付き合ってないんだよこの二人…。夏清推しはこの絶妙な距離感がたまらないらしい。わかりみが深すぎる。


「ねえ、傑。もう、行こ?」
「うん。…あ、体調はもう大丈夫ですか?」
「あっ、はい!」
「それなら良かったです」


そう言って目を細めながら優しく微笑む夏油傑に、死んだ。いや何回死ぬんだよ私。五条推しでこれなら夏油推しなんて実物見たらマジでヤバいんじゃないか。心の中で猿だと罵られようが全く構わない。だってイケメンだから。大事なことだからもう一度言おう。夏油傑は、イケメンだから。そう、イケメンは正義なのだ。


「すぐる…」
「あーハイハイ。もう行くから、ごめんね」
「早く二人っきりになりたいの…」
「相変わらず希は甘えん坊さんだなぁ」


ていうか夏清が想像以上にラブラブすぎてしんどい。いや五清もそうだったけど。支部のあれこれが現実になりすぎてて辛い。ここに夏清オタがいたら間違いなく失神するだろうな。夏油にべったりの希ちゃんと、そんな希ちゃんを愛おしそうに見つめている夏油を後ろから眺めながら、私は必死に鼻血が出るのを抑えていた。周りを見渡せばみんな同じだった。同士達よ。

はー…夏清が尊い…。