「で、返事は?」



結婚しようの次は付き合おう。そんな次から次に色々と言われても考えられるわけないじゃないですか!
私の方は半分パニック状態なのに、イルミさんはと言えば何でもないことのように淡々とした表情で、何だか理不尽な気持ちになってくる。


「や、やっぱり無理です……。ごめんなさい!」

「そう……」


「あ〜あ、振られちゃったねイルミ」

「うん。でも悪いけど、これで引き下がるつもりはないから」


え!?


「1週間考えたって言ったよね、名前に1回断られたくらいでオレの気持ちは変わらないよ」


んな馬鹿な!結婚も男女の付き合いも二人の意見が重なってこそ成立するものだよね?片方が譲らないからってどうこうなるものじゃないよね??


「そ、そもそも、イルミさんが私を選んだ理由って呼んだら来るからなんですよね!そんなの他の店員だって呼んだら来ますよ」

「来たってこうして話さないだろ」

「イルミさんが話しかければ喜んで相手する女性店員はたくさんいます」

「別に話したくない」

「えぇ〜……」


なんか、おもちゃを買ってもらえなくて拗ねてる駄々っ子を言い聞かせてる気分になってきた……。




「オレも誰だって良いわけじゃない。それだったら見合い話のどれか1つを適当に選んでるよ。あの後、どうして名前となら結婚してもいいと思ったのか考えたんだ」


「…なんですか?」



イルミさんはいつも通りの無表情だけど、なんとなく空気がいつもより真剣なものに感じて、私も同じように表情を引き締める。心なしか自分が緊張しているのが分かるが、その理由を今は考える余裕はない。真っ直ぐ射貫いてくる黒くて大きな瞳を見つめ返す。



「他の店員が来たって話しかけないけど、名前なら話しかける。家に帰って、ヒソカのことは思い出さないけど、名前のことは思い出す。
想像してみたんだ。朝起きて名前が隣で寝てて、ご飯を一緒に食べて、仕事から帰ったら名前の顔を見て、1日の話をしてまた一緒に眠る。

オレのテリトリーに毎日いても、名前なら大丈夫だ。

だから名前がいい」




先週とは違って、イルミさんの言葉に迷いはない。強く言い切られた言葉たちに体の熱が上がっていく。何か返事をしようと口を開くが、言葉になるものは一つも浮かばない。


「あのときは急にひらめいた案だったからちゃんと答えられなかったけど、オレなりに1週間考えた返事はこれだよ。だから、そう簡単に諦めるつもりはない」





名前、顔真っ赤だよ。とヒソカさんに声をかけられるまで、イルミさんの瞳から目をそらすことができなかった。



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