「降谷先輩」

「ん」

「降谷さん」

「なんだ」

「降谷しゅ」

「それはもういい。用件を言え」

「書類できました。あと、外回り行ってきます」


「水木グループの内偵か」

「そうです」

「今日は水木グループの会長と杉本の会合だったな」

「そうです」

「そろそろ現物が動くころだ。慎重にやれよ」


「……はい」


「近藤のとこは今案件が落ち着いてるから、ひとり応援で連れて行ったらどうだ?」


「…………」



「……どうした?」


「……降谷先輩って、週に1日登庁するかしないかですよね」

「そうだが?」

「噂ではトリプルフェイスをなさってるとか」

「それがどうした」

「私の担当まで把握されてるんですか?」

「当然だ」

「他の人たちのも?」

「俺はお前達の上司だ。部下の動きを知らなくてどうする」

「仕事できる男ってかっこいいですね」

「はぁ?」

「降谷先輩、仕事しすぎですよ。休みましょう」

「何言ってるんだ」

「私が先輩の代わりに仕事するので、休んでください」


「ほぉ…?名字が代わりに?」



「代わりに潜入……は無理なので、書類……も降谷先輩のチェックがいるし、会議…………えー」


「気持ちだけいただいとくよ」

「いや、何か、何か私にもできることがあるはず!」

「もういいから内偵行ってこい」


「私の得意なこと……、あ、私料理得意です!」


「料理?」

「洗濯も好きだし……掃除も!……そうか!私家事代わります!先輩の家事代行!」

「家事代行?」

「先輩が仕事終わるまでに全部用意して代わりにやっておくので、先輩はご飯食べてお風呂入って寝るだけです!どうです!」

「いや、どうですって……」

「さすがに仕事で先輩の代わりになるのは無理があるので、ご飯つくったりだったら力になれます。私今日20時に退庁する予定なので、やっておきますよ。先輩は仕事終わったら何も考えずゆっくり休んでください」

「いや、お前な。さすがに部下にそんなことまでさせられないだろ」

「私は降谷先輩の役に立ちたいんです!やらせてください!」

「いや、でもな……」

「先輩の好物なんですか?」



「…………鍋?」


「なべ!先輩、私のこと舐めてますね!ほんとにちゃんと料理できるんですよ!」

「………じゃぁそうめん」

「季節感ばらばらじゃないですか!」

「カップラーメン」

「先輩!」

「名字がつくってくれるものならなんでも嬉しいよ」



「…………………もう…!」




あの人達本当に付き合ってないんですか?


(そんな気はない……らしいが)


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