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「小夜のことで悩んでるの?」
「あ、ひろきくん」
「さっきから難しい顔して動かないから、どうしたのかなっておもって」
さっきまで割と激しめに殺陣の稽古をしてたのに清々しいほど爽やかなひろきくん。オーラってすごい。
「ちょっと煮詰まっちゃって。大事なシーンだからもうちょっと小夜の感じを出したいんですけど、どうしようって」
そうかー、と考える横顔すらも爽やかだ。
なんてぼやぼや考えてると、何かを思いついたのか、スマホを取り出す。
「助っ人呼んでみる?」
「助っ人?」
「久保瑞希。夕飯誘おうか。なんか参考になるかもしれないからさ」
「いいんですか?」
ゲームのほうの声優を務めている久保瑞希さん。
まさかひろきくんから直々に瑞希さんの名前を聞くと思わなかった。瑞希さんとは、前回の公演の時にごはんをご一緒したり、終演後にお話ししたりはしたけど、それも染谷さんとか廣瀬さんとか北村諒くん経由だったから。びっくり。ひろきくんが瑞希さんとはなしてるところ、たしか再演の時の終演後に少しだけしか見たことない気がする。きたむーかだれかが頑張って無理矢理ツーショットを撮ろうとしていたときだっけ。本当にそれだけ。それもたぶん一言くらい挨拶程度だった記憶が朧げながらにも残ってる。
思わぬ提案に、嬉しくて思わず声が弾んでしまって思わず恥ずかしくなって口を押さえる。
ひろきくんは連絡してみるねって笑ってくれた。
「久保瑞希さんって暁のヨナのアニメ出てた方?!」
近くにいた橋本くんがばっと寄ってくる。不思議なもので、動きの豪快さが、太鼓鐘貞宗っぽさそのものにだんだん見えてくる。
「どうだったかなあ。詳しくわからないけど、刀剣乱舞もそうだし、東京喰種とか、進撃の巨人とか、そういうのの声やってる子だよ。昔舞台一緒にやってたんだ。」
「そうなんだ、全然知らなかった」
「刀剣乱舞、ミュージカルも舞台も全部来てくれてるんだよ。他の舞台も結構来てくれてるみたい。」
「すっご!」
そうなんだよね〜まめなんだよね〜と微笑むひろきくんはどこか嬉しそう。昔一緒にやってたっていうくらいだしそれなりに長い付き合いなんだろうか。
「俺もよく、煮詰まったときにあの子と話すんだ。いい刺激になるよ。」
「ひろきくんが?なんか意外」
「そうかなあ。あ、返信きた。相変わらず早いなあ。」
ーー ごはん!きょうは義輝の稽古がラストまで入ってるからそのあと合流するでいいですかね!たのしみ
ーー そうか〜刀剣乱舞ももうなのか。今回観に行けるかなあ。後半公演被ってるんですよね。こっちは染谷座長とほそがいさんと井深くんとついでに杉江くんもいて賑やかなんだけど、、
「だって」
ラインの画面を見せながら、ひろきくんは嬉しそうに微笑む。すごく、うーん、なんか、その目がすごく優しくて。
「瑞希さんの舞台の話も聞きたいです」
「あの子、ああ見えて動ける子だからな〜きっと稽古場で暴れまわってるんだろうねえ。そめちゃんに火をつけてそうだな」
「観たかったです」
「今度DVD貸してあげるよ、瑞希が殺陣やってるやつ。秘密だけどね」
「いいんですか!」
「うん。いいよ〜」
お二人の関係は全然知らないけど、きっとすごく仲がいいんだろうな。気になるからあとで荒牧くんあたりにでも聞いてみようか。