■ ■ ■
「ひろきくんと瑞希さん?」
ああ〜、と顔を歪めるあらまっきーこと荒牧くん。俺もずっと引っかかってたんだよね、と続ける。
この前の稽古終わり、本当にひろきくんに誘われて瑞希さんとごはんを食べた。ついでに言うと、橋本くんも健人くんも一緒だった。
瑞希さんはいつもみたいに真っ黒の服を着ていたけど、とても稽古終わり、しかも殺陣シーンが多い通し稽古終わりとは思えないくらい綺麗だった。
やっぱりオーラがある人は違う。ひろきくんといい、瑞希さんといい。
パタパタと駆け寄ってきてびっくりしたんですよ!とただでさえ大きい目を見開いて文句を言う瑞希さんに、久しぶり、と優しく声をかけたひろきくん。それは、ただ、友達の待ち合わせというよりかは、まるで恋人同士の待ち合わせのように自然な流れで。
急いで頭を下げると、今回も納谷くんが小夜やってくれて嬉しい、と微笑んでくれた。
「詳しくは知らないけど、付き合いはだいぶ長いと思うよ。昔からっていうかデビューくらいから舞台結構共演してるし、戦国鍋一緒にやってたんだって」
「でも染さんも同じじゃないの?デビューから共演してた時期って」
「俺は染さんから聞いただけだからなあ。でも話を聞いてると、あの2人付き合ってたんじゃないかなあって思ったりしちゃうんだよね。あ、もちろん過去形ね。」
そう言われて2人でいるところを思い出す。片手で数えられるくらいしかみたことないけど、確かに思い当たる節がないわけではない。
ごはんのときの空気感とか、「瑞希観にくるって」っていってたひろきくんの妙に嬉しそうな表情とか。お互いを理解しあっているからこその絶妙な距離感。絶対的な信頼。
そう言われてみれば合点がいくようなきになる。
「今は瑞希さん、声優さんと付き合ってるらしいけど、染さんずっと心配してたからね」
「意外だな。染さん結構サバサバしてるイメージがあった。あんまり人のそういうの気にしなさそうって」
「そうなんだよ。俺もそんな染さんみるの瑞希さん関係がはじめてだったからさあ。この前、声のお仕事でその彼氏さんにお会いしたんだけど、あっこの人かって余計ドキドキしちゃった」
染さんは「ちゃんとそれで幸せなんだろうか」とぼやいていたらしい。
どうしてそんなこと言うんだろう。
この前彼氏のことを話していた瑞希さんは確かにちゃんと幸せそうだったのに。
ひろきくんも「安心したよ」って微笑んでいたのに。
直接聞ければどんなに楽か、と2人でため息をついてしまった。