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まるで休日にテレビの前で寝っ転がってるお父さんみたいなノリで俺の名前を呼ぶ声の主は、台本から顔をあげようともしない久保瑞希だった。

「17ページ3行目らへん、増田くん的にはどう解釈してる?」
「あ〜ちょいまち」

終始男子校のようなノリで進む地球防衛部の収録にもするっと馴染む彼女はやっぱりすごいと思う。2期からの合流なのに違和感がない。数多くの現場を共にしてるが毎度ながら羨ましい。

「あ、そうだ今度Bプロのラジオ呼ばれたよ」
「ハ?」
「わたし愛染回にゲスト出演するからその流れで、ってかんじみたい。8割小野さんの影響だと思うけど」
「まじか!まっじっか〜ちなみにどっち回?」
「わたしラジオ苦手なんですっていったら増田くんでいい?って言われたんだけど絶対豊永さんのほうが当たり回でしょ」
「ウ"ッッ気心しれてるって意味でしょ」
「豊永さんのほうがだいぶお世話になってるけどなあ」
「瑞希様〜ッ超真面目にやるわ。瑞希ゲスト回超真面目にやります」
「増田くん真面目にやると空回るからいつも通りがいいと思うよ」

瑞希ちゃんと増田ってホント仲良いよね、と近くにいた白井が笑う。ラケット振ってた頃からの仲ですからね、と得意げに返そうとする前に事件は起こった。

「てかさ!!ずっと言おうと思ってたんだけど髪切ったんだね、瑞希ちゃん。突然すぎて失恋かと思った!」

はっとしたときにはときすでに遅し。
俺も西山も梅原もあえて触れてこなかったことをあっけからんと指摘する白井に息を飲む。アホか、こいつアホなのか。

「はは〜失恋じゃないよ、今度の舞台のためにね。」
「へえ、舞台戻るの?」
「戻るっていうか、活動範囲広げたいなって。髪切ると気持ち切り変わるしさ」

いい感じに話を反らせて一息つく。アワアワと目を泳がせる西山、梅原は明らかに苦いかおをしてこちらに視線を投げてくる。言わんとしてることはわかる。わかるぞ。わかってないのはお前だけだ、白井!もうなにも言わないでくれ!

「でも仕事でこんだけ切っちゃうのって勇気いらない?髪は女の命なんでしょ?短いのも似合うけどさ〜」

あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜
梅原が頭を抱えてうなだれた。瑞希ちゃんまじでごめん、と視線を送ったが、当の本人は「別に気にしないな〜」とあっけからんとしている。気にしすぎか?こっちの気にしすぎなのか?「瑞希ちゃん、ほら仕事大好きだから、うん」とかなんともいえないフォローをいれる西山に、俺はもう降参のポーズだ。

「なんだ〜?どしたの〜?」

飲み物を買いに行っていた和臣くんが帰ってきて首をかしげたが説明する気にはなれなかった。