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「わたし、ちゃんと恋人やれてるかなあ」
「急にどうしたん」
「 だって、私は世の中の恋人がするようなことを江口さんにしてあげられてないから」
「世の中の恋人がすること、」
特別な思い出になるような出来事や、がんばって手に入れたり、作ったり、それを江口さんにあげたりとか。江口さんは優しいからわたしになにも求めてこないし、わたしはそれに甘えてがんばって江口さんになにかをするってことをしてなくて。
きっとなんにもできていない。
「2人ともこのあと仕事?」
壮馬くんのなにかを企む顔に、ポーカーフェイスの梅原くん。
「いや」
「じゃあ、遊びいこ。海とかいこ」
決まってからは早かった
電車を乗り換えて、タクシーを捕まえて。海に着く頃には辺りはすっかり暗くなっていて、冷たい風に思わず身を縮こませる。
「さっむ」
「寒いから、星が綺麗だよ」
「ほんとだ、きれい」
「江口さんにも見せてあげたい」
ぽろっとそんな言葉がこぼれた。
無意識だった。
「よかったじゃん。デートスポット一個増えたね」
「大丈夫だよ、伊織は思ってる以上に江口さんのことしか考えてないから」
「結局惚気じゃん」
2人にからかわれながらタクシーに揺られる帰り道。
江口さんには、「きょうはハーゲンダッツを食べませんか」とメッセージを送った。