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「遅くなりました〜」
「おーおーっ、お疲れさん」
突然染ちゃんにごはんに誘われた。誰がいるかも知らされず、まあいつものメンバーだろうと指定されたおしゃれな個室居酒屋にいくと、すでに染ちゃんが待っていた。そしてジャケットを脱いで最近どうよなんて言い出した頃に現れたのが、案の定。
「あーやっぱり細貝さんいる!だから雨だったんだ」
「おふたりのおかげで1週間前から今日は雨の予報でした〜」
ビールでしょ?と有無を言わせない染ちゃんにジョッキ生で、とお願いする久保。久しぶりだね〜とにこやかに手を振ったら爽やかに嘘つかないでくださいよと毒付かれた。ホントは一昨日イベントの打ち合わせで会ったばっかり。
あともう1人分の用意に気づき、ああ、と悟る。
おしぼりで手を拭いていると扉が引かれた。やっぱり。
「あれ、瑞希の方が早かったの?」
「お久しぶりです」
「ん。拡樹くんが最後でーす」
「どうせ瑞希が最後かなっておもってゆっくりきちゃった、ごめんね。瑞希久しぶり。」
「意味がわからないよ」
「久しぶりとか言っちゃったけど全然久しぶりな気がしないや」
相変わらず拡樹くんは久保しか見えていないんじゃないか。ふにゃんとした笑顔を見せている。
その間にもビールと一緒に美味しそうな料理が運ばれてくる。途端にパッと目を輝かせた久保はやっぱり末っ子だとおもう。
「そうだ、細貝さんお誕生日おめでとう」
思い出したように久保が串カツをソースに付ける手を止めた。
俺、今日それずっと待ってた!!そのひとこと!!遅い!!!何食わぬ顔で細貝さん32歳?なんて聞いてくるしこれだから20代は。
「おめでとう32歳!!」
「しんどいからやめて」
「圭くんなにがほしいの?誕生日」
「うーん、そうだなあ」
「瑞希は?瑞希もちょっと前誕生日だったもんな」
「ディズニーに行きたいです」
「え?」
「ちょっと待って俺のターン無視しないで」
「ディズニーシー」
「意外、興味あるんだ」
「ありますよ、そりゃあ。女の子だもん。今叶えたい夢です」
「行こうよ。瑞希の希望だもん。」
思わず向かいの染ちゃんと顔を見合わせてしまった。まじか、まじか。
串カツをくわえた久保はポカンとしている。
「えっほんとに?いいの、拡樹くん」
「いいよ。ふたりもいいでしょ?」
「拡樹くんが乗り気ならいいよ。しょうがないなあ、お兄さんが連れてってあげるよ」
「本当ですか」
「まあ、アフ6とかあるよね。そのくらい合わせられるっしょ。社畜久保次第だけど」
「行きたい!うわ、うれしい」
「圭くんと瑞希の誕生日祝いね」
よっしゃ、決まりな!と、目を輝かせて計画を立て始める染ちゃんと久保、それをにこにこと眺める拡樹くん。
ノリだけで全てを決めていくこの感じ、なんだか学生のときみたいだなあ、なんてしみじみとしてしまった。