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「やってきました〜ディズニー〜〜シ〜〜!イエーイ!」
口パクの染ちゃんに瑞希のバラエティー番組風タイトルコールがアテレコされる。カメラを向けていた圭くんは必死に笑いを堪えているが手が震えていて画面がブレブレだ。
「ヤバイ、ウケる、さすが売れっ子声優!めっちゃプロだった!」
「プロですもん」
「染谷俊之(cv久保瑞希)ってめっちゃ面白いな圭くんそれ送って」
「あとでアルバム作るね〜」
「ねえねえ何乗ります?食べます?ビールですかね?」
「瑞希がこんなにウキウキしてるの久々に見たけど俺には心配ごとがある」
「言わないで、俺いま絶対考えないようにしてるから言わないで」
「いま奇跡が起こってるから、起こしてるから!」
柄になくキャラクターのカチューシャやサングラスをつけて盛り上がる姿はさながら学生のよう。圭くんと瑞希に至ってはジャケットに「ハッピーバースデー!」と書かれたキャラクターのお誕生日ステッカーを貼っている。染ちゃんの仕業。
なんだか昔みたいだった。
「昔稽古とか公演終わりにこうやって歩いたよね」
「買い食いしながらね」
「ウワ、めっちゃ懐かしいですね」
「俺と瑞希が前で騒いでね、ひろきくんがちゃんと前見て歩いてって言ってた」
「細貝さんは足長いくせにダラダラ歩くからからいっつも1番後ろ」
「今もまんま一緒じゃん」
「俺はカメラ係やってっからいーの」
いつもローテンションの瑞希でさえも今日はお腹を抱えて笑ってる。
それだけ観れただけでも今日はみんなで来たかいあったと思う。
「瑞希、はい」
なにひろきくん、そう振り返った彼女にハッと息を飲む。
「ポップコーン。ホワイトチョコ味」
「食べる!食べたい!」
「ひろきくん俺も!」
「え〜」
「染谷さんにはあげません〜」
「ひろきくんはそーやってすぐに瑞希贔屓する!」
「瑞希は赤ちゃんだから。染ちゃんはお兄さんでしょ」
「赤ちゃんじゃないので細貝さんには絶対あげません」
染ちゃんが呆れたような笑みを浮かべながらこっちを見ていた。
「俺は好きだったよ、瑞希とひろきくんが一緒にいるところ眺めてるの。お似合いだなあって思ってた。」
圭くんと瑞希が楽しそうに随分先を歩いていくのを眺めながら染ちゃんがぼそりと呟いた。
気づけばすっかり真っ暗になり、周りは電飾と夜景に囲まれていた。周りのカップル達が綺麗だとはしゃぎながらそれに見とれている。
あの子は振り返らない。
「あのときみたいにもう脆くないよ、瑞希は。」
「潔く身を引いちゃうんだ」
「そりゃあ、引くよ。今後一切連絡すらも取れなくなるか、たまにごはんとか舞台いって感想言い合ったりできるかの二択だったら、俺は後者でいたいからね。」
「瑞希がどこの馬の骨とも知らないやつと結婚して子供産んだとしても?」
「心からお祝いするだろうね」
「もはや怖いな、その執着心」
僕は役者だ。感情を偽ることは得意。他人を演じることが仕事。
「でももし、彼女があの選択を後悔しているなら。トラウマに感じてるなら、一発殴ってやろうって、思うよ。」