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「瑞希は?」
「中辛で」

AD-LIVEのため、イベントが終わったその足で大阪にやってきた。駅まで迎えにきてくれたのは先に現地入りしていた浅沼さんだった。

慣れたように劇場の近くのカレー屋さんに連れて行かれる。
カレーを待っている間あれやこれやとわたしがいない間に決まったことを説明してくれた。はじめは前日もスケジュールを開けていたのに「瑞希は本番に強いからそっちのイベントでてから大阪来いよ」と計らってくれたのは浅沼さん。本番に強いなんて根拠のない嘘をさらっとつくから終いには鈴村さんまで「ハロウィンイベントはでた方がいい!」なんて背中を押してくた始末だ。

「で、お前の衣装これ」
「これ?」

ハロウィンスペシャルだといって浅沼さんがスマホの画面を向けてくる。水色のワンピースに白いエプロン、金髪のロングウィッグ。どう見てもアリスのコスプレ。結構しっかりしたやつ。

「ちょっと前に俺が着たのお前のサイズに直してもらったから」
「拒否権ないやつじゃないですか、ウワー」
「鈴村さんも乗り気だから。よかったね。」
「なにもよくないです」

むくれるわたしをよそに楽しそうに笑う浅沼さんがさらに口角を上げたから思わず顔を歪めてしまった。なんですか、と聞く前に上機嫌そうに画面をこちらに押し付けてくる。

「マサミお兄さん、ニクいね〜」

カレーを掬う手を止めて浅沼さんのスマホを受け取るとマサミさんとのライン画面が表示されていた。
下まで見ろとカレーを食べながら視線を送ってくる浅沼さん。スクロールすると「お嬢との身長差を再現してみた」「俺でごめんな!」とメッセージと一緒に異常に距離が近い江口さんとのツーショットが添付されている。マサミさんはkiramuneのイベントだったはず?

「あ、kiramuneのだから江口さんがいるのか」
「もっとなんかあんだろ、感想」
「いや、マサミさん江口さんと仲がよかったんだなってくらいしか。別に男性同士の距離が近くて喜ぶ趣味は特に、、」
「『お兄さんはお嬢のコスプレ画像がほしい』っていってるけどなんかないの?防衛部のとか」
「マサミお兄さんに渡す写真はありません、残念でした」