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「そーまくん!」
上から降ってきた声に顔をあげると階段の上で瑞希ちゃんが手を振っていた
「あれ、スタジオここだったの」
「うん。壮馬くんに本返したくて。」
なにを貸したっけと思い巡らしているとダダダッと階段を駆け下りてきた彼女が隣に並ぶ。
ぺたんこのスニーカー。どうやら今日は江口さんと一緒ではないらしい。
「ああ、これ瑞希ちゃんに貸してたんだっけ」
「うん。返すの遅くなってごめん。すごいよかった。次のオススメなんかない?」
「今日読み終わったのでよければ貸すけど」
「いいのそれ」
「いいよ。これ好きだと思うし」
「ありがとう。ラッキーなタイミングだった。」
界人くんに便乗して、誕生日に本を10冊くれと言ってきた瑞希ちゃん。それこそ読まないだろうとおもって軽めのものを10冊選んで渡したらすぐに感想が送られてきて心底驚いたのがつい最近。
「そういえば読書の秋特集見たよ、雑誌の」
「ああ、あったなあそんなインタビュー。文スト関連のインタビューラッシュも終わったし秋も終わるね。」
「大学の近代文学史のレポートであんなに苦しんでた人間がめっちゃ文学少女みたいになってて笑っちゃったよ」
「こっちは全部斉藤壮馬くんからオススメされて読んでますっていったら笑われた」
「なんだよそれ。お役に立てて何よりだけども」
カバンから出した本をわたすとほかほかしてる、なんてよくわからない感想をくれた。
「これ、恋愛?推理モノ?」
「うーん、恋愛が強いかも。恋愛系駄目だっけ」
「全然。この業界にいて恋愛モノ駄目ってもう致命傷でしょ」
「はは、たしかに。」
そういうことじゃなくて〜という気持ちをぐっとこらえて、このあと飲もうよと誘えば快諾してもらえた。
「そういえばなんの収録?すぐ終わるの?」
「ん?ああ、エロゲーの収録。ちょっと気分転換してあとちょっとパパッと撮ったらおわれると思うよ」
「聞いといてあれだけど複雑な気持ちになったからそういうの言わないほうがいいよ、僕以外に」
「今更そんなんいわれても」
「特に江口さんには言わないほうがいい絶対」
「そう?」
「うん。ほんとに。」