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「あれ、花江くん知りません?壮馬くんでもいいんだけど」
「花江?荷物はあるけど戻ってきてないよ」
「荷物はあるんだー。じゃあここで待とうっと」
「なに、一緒にかえんの」
「うん、置いてかれたかと思いました〜」

こいつも相変わらずだなあとおもう。出会った時から二人はしょっちゅう一緒にいたから一緒じゃない方がむしろ落ち着かない。そういいながらも最近は一緒にいるとこそんなに見なくなったなあ、なんておもえばこれだ。悠長におにぎりをほおばりだす瑞希の姿に親のような気持ちを抱いてしまうのを許してほしい。

「やっぱ花江いないと寂しい?現場」
「オルフェンズ?」

毎週のように一緒にこのアニメを収録しているが、今日のイベントはいつも以上に楽しそうだった。きっと今期はいない花江がスペシャルゲストで来てくれたからだろう。そんな気がする。

「そんなことないよ。今日はなんかちょっと懐かしくなっちゃったけど」
「そっかー」
「うん。最近は昔ほど一緒の仕事ないんだよって言おうとしたけど明日もイベントいっしょだった」
「仲良しじゃん」

安心した、と零しそうになって笑ってごまかす。昔3人でいっしょにラジオだの番組だの収録してゆるい企画にゲラゲラ笑ってた頃が少しだけ懐かしくなった。瑞希は控えめに笑うんだけど、ツボが浅くてずっと両手で口元を隠しててそれが妹ぽくて。花江の下ネタにも耐性がついてきてしまったときはなんか無性に悲しくなったんだよなあ。

急に懐かしくなって口元が緩む。
どうしたの、と眉をひそめられたので、「昔瑞希が手が大きい人と結婚したいって言い出したせいで手の大きさ比べあうのが流行りになったこと思い出してた」と返すと、心底意味がわからないといった顔をされた。たしかあれはハマトラの打ち上げの時の話。意外と覚えてるもんだ。ほくほくと、父親のような気持ちになってるのに当の瑞希は我関せずと2個目のおにぎりを開けていた。いつもと同じ、少し潰れたツナマヨのおにぎり。

「あっれー、瑞希ちゃんと逢坂くんだどうしたの」
「どうしたのじゃないよ、お嬢がお待ちだよ」
「もう来ちゃったの、おにぎりあたらしいの開けちゃった」
「え、なに、なにこれ。うめちゃんとか待ってるよ」
「わたし花江くん待ってたんだけど」
「ごめんごめんって」

逢坂くんまたね、とおにぎりを片手に小さく手を振った彼女は、やっぱり今日も花江に手を引かれていた。