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「廣瀬くんてさ、舞台俳優もしてるんだよね?」
「あっハイ、そうです」
「稽古終わりとかってやっぱめっちゃ疲れる?何してもらえると嬉しい?」
稽古?舞台の稽古という認識でいいのだろうか。疑問符を浮かべながら見上げた江口さんのあまりに神妙な表情に、突然の質問の意図を察する。
そういえば、瑞希ちゃん、稽古はじまったっていってたなあ。
「日によりますけど、殺陣、あっ、アクションとか入ったりすると、もうヘトヘトですね。頭がパンクしそうになるっていうか、、、そういうときは食べるのも面倒なので、あったかいごはんが待っててくれると幸せになりますね、、僕はそれが嬉しいですかね、やっぱり」
そうかーなるほどなあと、ごく真剣な顔で頷く江口さん。
舞台は経験がないから感覚がわかんないんだよね、と言われてそういうもんか、なんて。
労ってやるならやっぱ胃袋だよなあ、納得したようににやにやとスケジュールを確認しだす江口さんの横顔をぼんやり眺めながら、幸せそうな瑞希ちゃんを重ねる。
向かいに座っていた植田圭輔も話の輪に入ってきたが、「前1回だけ舞台一緒だったけど、実はそれくらいしか面識ないからな〜」とぼやく。
一緒だったんじゃん。俺なんて何回か飯行ったことはあるけど、舞台では一度も共演してないのに。
江口さん曰く、ハイネの話をしたら真っ先に「廣瀬くんがいる!また共演すんのずるい!羨ましい!」と言われたらしい。光栄なことだ。植田くんはだいぶ拗ねてたけど。廣瀬くんのことなんでも知ってるよって江口さんに言われてなんだか複雑な気持ちになったのは秘密。
「瑞希ちゃんは稽古おわりによく飲みに行ってたのもあってタフなイメージがあるんですけど」
「それがさー、昨日は玄関で寝落ちてて。びっくりしたんだよね」
「江口さん的にはやっぱり複雑なんですか?」
「飲み?別にそこはな〜。あの子、すぐ全部バサバサ切り落としていくタイプの人間じゃん?今あるせっまいコミュニティくらいは大事にしてほしいなーって思ってるからさ〜。まあ俺もガンガン飲みにいくし」
「なんかいいですね、そういう関係」
瑞希ちゃんは、周りに恵まれる特殊能力でもあるんだろう。
きっと、今日も瑞希ちゃんはヘトヘトで家に帰る。玄関を開けたら、江口さん特製の、そうだなあ、例えば、カレーとか、
きっとあったかい、おいしそうな香りが彼女を包み込んでくれて、どうしたのって眉を下げて笑うんだろうな。