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「あ、はい。付き合ってます」


あっさりと告げられたそれに、まさか言うとは思ってなくて少しだけ驚いたけど、まあいつかは何かしらでバレると思ってたし、想定内ではある。

壮馬くんと2人でゲストに呼ばれたラジオで恋愛の話になりパーソナリティーの方に「実は付き合ってるんでしょ?」と聞かれて、冒頭に至る。
1年以上続いたなら、そのあとは2人の判断に任せる的なことを事務所から言われていたのを思い出した。


「え、あ、それ、言ってもいいやつ…?」

「そう、ですね。半端な想いで付き合ってるわけではないので」

「二人三脚なんですよ。僕と飛鳥ちゃん。どっちかが欠けても駄目なんです」

「えっ…なんかかっこいいっすね…」


前々から気になっていた変な噂を払拭するのにもいいかもしれない。すでに結婚して子供もいるとか、実は仲良し営業で仲悪いとか。噂は所詮、噂でしかないのだ。

ちらりと見えた壮馬くんの顔は思った以上に穏やかで安心した。(ヤケになったわけではない、な)


「僕から茜飛鳥を取ったらただの斉藤壮馬ですからね!」

「ただの斉藤壮馬でもいいじゃない」

「飛鳥ちゃん、こういうときは頷いてればいいんだよ」

「ええ…ひど…」


口を真っ直ぐに閉じたら笑われた。さらにひどいよ。


「……なんか、熟年夫婦って言われるのがわかる気がしてきました」

「あ、結婚はしてないですよ」

「茜さんそれはさすがの僕でもわかってます」

「そ、そうなんですか……」

「あはは!ギャグだよもう!」


真面目に発言したつもりなんだけどなあ。

膝の上で無意識に握っていた拳は壮馬くんに開かれて、絡め取られた。大丈夫だと言っているようなそれに心は緩やかなスピードで減速していく。気付かないうちに緊張していたみたいだ。


「本当に私事で恐縮なのですが、こんな僕たちでもよろしければ今後も引き続き見守っていてもらえれば幸いです」

「はい。なんだか軽い感じになってしまいましたけど、私も、だからって何か変わるわけではないので。応援していて後悔もさせないのでね」


我ながら大きく出たと思った。後悔させない、なんてなかなか言えない。言わば誓約のようなものだ。宣言してるぶん、気持ちは楽だったりする。

「茜さん、男前なんですね」「いやホントに。僕なんかよりぜんぜんかっこいいです」と男性陣に囁かれて、じわりじわりと熱が上がってくる。駄目だ。恥ずかしくなってきた。


「……すいません。私のことはいいんで、あの、ど、どうぞ」

「これが本当のギャップ萌え」

「壮馬くん!ヘイパス!」

「僕にパス回さないで」

「この世は残酷だ……」

「平和だなあ」