「おい苗字、おまえ及川と何かあったのか?」

及川くんと無理やり別れた次の日。
HRが終わって、なんと一時間目の教科書を忘れた私は秒で隣のクラスの岩泉に借りに行った。
ロッカーを漁って教科書を渡すと同時に、岩泉は私にそんなことを聞く。

「ああね。別れた!」
「ハァ?!」
「え、なに、怖。」
「俺はそんなの聞いてねえよ!」

大きな声をあげる岩泉。目が怖い。
っていうか、及川くん言ってなかったの!岩泉は相棒なのに!

「お前ら普通に仲良かったじゃねえか!」
「え〜、そんな事ないよ。」

『普通のカップルって感じじゃねえけど、悪くは無かったろ。』と、岩泉。
まあ確かに仲が悪くなったわけじゃないし、今も悪くはない(?)と思う。
でも、もうそんなカップルみたいな好きをお互いが持っていない、
尚且つ、片方は別の子が好きって言うのなら、付き合っている理由はない。

だったら、私は吹っ切ろうと思えば吹っ切れるんだから、さっさと及川くんを吹っ切って、彼の恋愛を応援したいと思う。

「遂に愛想尽きたのか?あいつ、女子にモテるの隠そうともしないし。」
「いやあ別に。私、及川くんのこと嫌いになったわけじゃないよ。普通に友達に戻っただけだもん。」

意味わかんねー、と岩泉はしかめっ面をする。
おいおい、怖いぜ岩チュァン!怖い顔が更に怖くなっちゃうぜ!

「なんで別れたんだよ。お前はそんな簡単に人のこと嫌いになる奴じゃねえだろ。」
「だから嫌いじゃないって。トモダチ。」
「なんでもいいだろ、そんなの。何でだっつーの。」
「えっ、ていうか岩泉知らないの?相棒なのに?」
「うるせえ!とっとと話せ!!」

私は、岩泉に全部話した。
及川くんが、別の子を好きなこと。
私がもう吹っ切れたこと。
私の気持ち。

「あいつ…浮気なんかしてたのかよ。」
「え!なに?怒ってるの岩泉!なんで私が怒ってないのに岩泉が怒るの。」
「あいつがそんなにクズだとは思ってなかった。部活でシメる。」
「やめてよ〜、私そんなショックとか受けてないし。むしろ納得って感じだし。」
「あ?」
「及川くんが好きな子見れば分かるって。まじ、納得。なっとくの民。」
「意味わかんねーよ。」

岩泉はまだなにか言おうとしたが、予鈴がそれを遮る。
じゃあね、と岩泉にお礼を言って、私は教室に戻った。


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