◎ルールは大事


「はい、3匹揃ったのでここで暮らしていくためのルールを決めたいと思いまーす。あなたたちに拒否権はありませーん。」

他の人達からはいいお返事がもらえたけど降谷さんだけはキャンキャン吠えてる。

『お前だから3人とも犬猫になる日を待ってたな!』
「落ち着け降谷君。この家の家主は名前だ。彼女に決定権はある』
『そーだよ降谷さん。それに名前さんが無茶苦茶な提案してくるわけないよ。』
『なんでコナン君はそんなに名前のことこの短期間で信頼してるの!?』

ワンニャン会議は後でやってくださーい。
この日の為にいろいろ準備してきたんだから。
1つ目は合鍵。

「犬の時に勝手に外に出ることは許しません。でも誰かが人間になってる時はオッケーです。リードはちゃんとしてくださいね。戸締りはしっかりよろしくお願いします。」

手掛かりとか探しに行きたいだろうし、みんなじっとしてられない性分だと思うから。特にコナンくん。
2つ目はプリペイド携帯。

「私の番号だけ登録してあるから何かあった時は連絡して下さい。もちろんかかってくるのも私だけなのでとって下さい。基本人語で話してほしいけど無理なら犬語もありです。私が一方的にしゃべります。とりあえずでてくださいね。外出する時は持ち歩くこと。」

最後に大事なルール。これが一番重要。

「最初にも言ったけどあなたたちはここにいる間は私の家族です。遠慮とかなしでお願いしますね。
あと人間になってる時は掃除とかご飯の用意とかしてくれると嬉しいですね。」

最初降谷さんにも言ったけど赤井さんも家事はできるみたいだからそれくらいはやってもらわないと。

「これくらいですかね。他に質問ある人いませんかー?まぁ言ってもわかんないけど。」
『ほらぁ、名前さん無茶なんか言わなかったでしょ?』
『むしろ俺達に都合のいいことばかりだったな。』
『普通このタイミング狙ってきたら何かあると思うだろ?!コナンくんもひどい!』
「何もなさそうですねー。なら私は買い物行ってきまーす。」


ーーーーーーーーーーーー


買い物に行った名前を見送る。

『さて俺達にもルールが必要だと思うんだが。』
『はい!赤井さんと降谷さん喧嘩しないこと!』
『それはコナン君の願いでも却下だね。無理だ。』

スコッチが死んだのはこいつのせいじゃないと分かった今でもこいつが気に食わないからもう生理的に無理なんだろう。一生啀み合って生きていくに違いない。切れるもんなら縁を切ってしまいたい。

『別に作戦前はほぼ同居していたに近かったからな。今更決める必要はないだろう。』

作戦前は工藤邸に集まって作戦会議をしてそのまま雑魚寝が多かった。しかし今は違う。名前がいる。

『名前さんに迷惑がかからないようにしなきゃだよ。』
『それはもう衣食住の時点でアウトだボウヤ。』

そんなこと言い出したらキリがない。…………お?

「おぉ、戻った。」
『ほんとこれ急だよね。法則性とかなんもない。』

痛みが無い分マシだが何度やっても驚く。きっかけや前触れも何もない。
せっかく戻ったことだし名前を迎えに行こうか。荷物持ちくらいはしてやらないと。

『降谷君出掛けるのか?』
『あ、名前さん迎えに行くんでしょ。僕も行くー。』
「どうせ言うと思ってたよ。赤井は俺に手綱を持たれる事を後悔するがいい。」
『お手柔らかに頼む。』
「コナン君は抱っこでいいかな!」
『僕肩に乗るからいいよ。』


ーーーーーーーーーー


ん?なんか外が騒がしいな。出てみるとそこには金髪褐色のイケメンがドーベルマンと子猫を連れて立っていた。そら目立つわ。
赤井さんが私に気づいたようで小さく吠えた。やめて私目立ちたくない。早足で去ろうとすると後ろから肩を掴まれた。やだもう目線が刺さってるぅ。

「せっかく荷物持ちしてやろうと思って来たのに何故逃げるんだ。」
「分かんないんですか。こんな目立った人の横歩きたくないんです。」
「気にしなければいいだろ。」

この人慣れてるんだわ。もーやだー。降谷さんは諦めろと言って私に赤井さんのリードを渡し、持っていたスーパーの袋を取り歩き出す。

「そーいやどうやってここまで来たんですかコナンくんもください。」
「赤井が匂いを追ってきたコナン君は渡さない。」
「けち。」
「何とでも言え。」

コナン君は呆れ顔で一声鳴いた。イケメンが肩に子猫乗せて歩いてたら目立つだろ。ただでさえイケメン過ぎて目立ってるのに!

「あら、苗字さん?」

ほらぁ!とうとう知り合いに出会っちゃったじゃないかぁ!!

「こ、こんにちは…。」
「あらぁ!いつの間にイケメンゲットしたの!」

やったじゃないのなんだのペラペラと一方的弾丸トークをしている間に降谷さんが誰だ?とこそりと聞いてきた。

「マンションの管理人さん。」

いい人なんだけどね。まぁよくいるおしゃべり好きなおばさんだよ。
降谷さんはそうかと言ってにっこり営業スマイルを浮かべた。え、何嫌な予感しかしない。

「初めまして、降谷と申します。いつも名前がお世話になってます。」
「まぁ!イケメンな上に礼儀正しい!いい彼氏じゃないの!」
「いや、彼氏じゃ「いえいえ、僕なんてそんな大層な人間じゃないですよ。」おい。」

否定しろよ!!ジロリと睨むとニコリと微笑まれた。背中に悪寒が走った。誰これ。

『安室さんだ。』
『安室君だな。』
「助けて赤井さーん。」

そのまま私を置いてきぼりにして降谷さんと管理人さんは話して別れた。ニッコニコで手を振られたけど何話してたの。

「何で否定しなかったんですか。」
「女性の部屋に得体の知れない男が出入りしてたら怪しいだろ。恋人なら怪しまれない。」

そんなことしたら私が1人の時に質問責めじゃないか!!それに赤井さんとコナンくんもいるのにどうすんの!

「最初にお兄ちゃんにしようって言ったじゃないですかぁ…。」

なんでそんな楽しそうなんですか!

「もう!今度会ったら否定しておくので!降谷さんも赤井さんもコナンくんも!親戚です!最近こっちに引っ越してきた親戚!いいですか!」

みんな返事しろ!
後日会った管理人さんに弁解をしたが照れなくていいのよ〜と聞いてもらえなかった。解せぬ!!



しおりを挟む