◎降谷さんとトラブル


それは突然の出来事だった。突然の突風。舞い上がる木の葉。一緒に飛ばされる、

「降谷さん?!?!?!!!」

いや、飛びはしなかったけど木の葉と一緒にゴロゴロ転がっていってしまった。慌てて止めに行く。

「うわぁ。」
「目回しちゃってるね。」
『これしきのことで情けないな。』
「しかも葉っぱ絡まって取れないよ…。」

……………ん?待って、

「これ、毛切らなきゃ取れないだろうけどさ。切ったらどうなるんだろう。」

赤井さんの目が怪しく光った気がする。



とりあえず帰宅。帰りに犬用ブラシを買ってきたけどまぁ、取れないよね。根元の方まで絡んでるからこれ刈り上げないと駄目なんじゃない?サマーカットどころではないかもしれない。エリザベスカラーが必要かもしれない。

「降谷さん、ハゲたらごめんね?」
『絶対嫌だ!!このまま人間に戻れば大丈夫なはずだ!!放っておいてくれ!!』
『諦めろ降谷くん。このままでは家が汚くなる。大人しくハゲろ。』
『貴様絶対楽しんでるだろ!!』
『見てるかスコッチ。バーボンがハゲるぞ。』
『やめろ!!!』
「コナンくん抑えててー。」
「合点承知!」
『ハゲはいやだぁぁぁぁ!!!』

言ってることはなんとなく分かるけどどうしようもないのでザクザク切っていく。最後の方はもう意気消沈で灰になってた。さて、人間に戻った時どうなるやら。

「大丈夫、ハゲてもイケメンはイケメンだよ、きっと。」
『ハゲたら末代までハゲになる呪いをかけてやる。』














目が覚める。あれ、あれは夢だったんだろうか。ん?手が動く。今は人間か。

「あ、降谷さん起きたん…………。」

名前が台所から顔を出して、止まった。

「なんだよ。」

睨んだも目をそらして引っ込んでしまった。本当になんなんだ。まぁいいか、あいつが変なのはいつものことだ。

「降谷さん。」
「だからなんだよ。」
「ごめんね?」

そう言って差し出した鏡に映っていたオレは、

「嘘だろぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおお!!!!」













「どうしたの降谷さん、急に叫んで。」

名前が目の前できょとんとしていた。慌てて近くにあった手鏡を手にとって確認する。よし、髪の毛ある。

「毛切ったら服ぼろぼろになっちゃって、ごめんね。」
「いや、ハゲないならなんでもいい。」
「そんなにハゲ嫌か。」
『ちょっと楽しみにしてたのに。』
『残念だ。』
「お前もハゲにしてやろうか赤井。」

その時私は降谷さんの首筋近くに、1円玉くらいの
ハゲがあることに気付いてしまった。



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