◎受付嬢とドッペルゲンガー


「先輩聞いてください。こないだあの変態とおんなじ顔のやつに会いました。」
「うわぁなにその偶然。」
「私呪われてるんですかね。」
「他の男の話してるなんて妬けるなぁ。」

どっからわいてきた。

「呪いって言ってるのにそこは無視ですか。」
「運命の糸で繋がってるんだろ、俺と。」
「誰かよく切れるハサミ持ってきてくださーい。」

こうやって見るとほんと、顔はそっくり、ていうか一緒。まじでドッペルゲンガーじゃないかな。じゃあ私死ぬの?あれ、会った本人が死ぬんだっけ。

「ん?そんな見つめてどうした?惚れたか?」
「ないです。」

性格は全然違うけど。あっちの方が女性に優しそうだし慣れてそう。まぁこっちも慣れてるんだろうけど。なんか扱い方が違うっていうか、むこうは紳士でこっちはワイルドな感じ?うーんよく分からん。語彙力。

「双子の兄弟とかいませんか?」
「苗字から質問なんて珍しいな。俺の事が知りたくなったのか?」
「どうでもいい疑問は払拭したいので。」

この人最近どんどんチャラくなってない?そこらのナンパみたいなんだけど。あったことないけど。

「兄弟はいないよ。」
「そうですか。」

じゃあポアロのバイトさんは他人の空似、もしくはドッペルゲンガーということか。

「他に質問は?何でもは無理だが出来るだけ答えるぞ。」
「もうないです。お仕事に戻ってください。」

さっきから携帯のバイブ音がすごいんです。無言で指差すと舌打ちをして嵐は去っていった。

「あんたほんと最近あの人に絡まれるね。」
「探偵はダメだったのでお祓いに行こうかと思います。」

(風見殺すって聞こえたのは忘れよう。)



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