◎受付嬢と看板娘


「ごめんなさい、今日は安室さんいないんです。」

梓さんはそう言いながら私の前に紅茶とハムサンドを置いた。
なんで謝られてるんだ。

「いや、全然いなくていいです。むしろいらないです。ハムサンドがあればそれでいいんです。」
「え、名前さん安室さんと仲良しで会いに来てるんだと思ってました!」

なんと心外!どこをどう見てそうなってるんだ。

「こないだ買い出し帰りの安室さんと手を繋いで来たじゃないですか。」
「あれは私が早く行くために手を引っ張ったらそのまま離してもらえなくなったんです。どれだけ引っ張っても離れなかった。あの人ゴリラですか。」

ほんと痛くないのに離れない絶妙な加減で握ってきやがった。そのまま背負い投げしてやればよかったかもしれない。

「仲良しじゃないですかー。」
「嫌だー。」
「じゃあ名前さん彼氏とかいるんですか?」
「いませんね。いたこともありませんね。」
「えー!!こんなに可愛いのに!!」
「まぁ、自分の顔はなんとなく理解してますよ。でもね、兄が最強すぎて誰も近寄って来ませんでした。」
「お兄さん達もさぞかしイケメンなんでしょうねー。」

兄達もそれはそれはイケメンだったなぁ。身内の贔屓目なくてもあれはすごいまぁ安室さんも負けてないけど。あれでシスコンじゃなければさぞモテただろう。

「そりゃもうスカウトされまくりでしたよ…。まぁ今は交番のお巡りさんです。双子でやってるから有名らしいです。」
「そうなんですか!すっごい見てみたいなぁ。」
「そのうち出没するんじゃないですかね。私はよく会うので。」
「えー楽しみー!」

梓さんって女子高生みたいだなぁ。この人何歳なんだろ。

「じゃあ名前さん今好きな人とかいないんですか?」
「いないですねぇ。」
「なら好きなタイプとか!」
「……………、兄を倒せる人。」

(でないと私とは付き合えないと思う)



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