◎受付嬢と幽霊A


家に帰ると玄関の前に黒い塊。

「おっかえりー!」
「……………ただいま。」

笑顔で迎えてくれたのは幽霊のレイさん。公園で会ったあの日から度々現れてはご飯を食べに来てそのまま泊まってったり食べるだけで帰ったり、懐かれてしまった。断じて不純な関係ではありません。本当にただの宿のように使われている。解せぬ。

「今日はトンカツ食べたい!」

がさりとスーパーの袋を差し出す。無言で受け取り中身を見るとキャベツ一玉となかなかいいお肉とビールがいっぱい。こないだはお金無くてたかってきたくせになぜこんなお肉を買うお金があるの。

「この時間から揚げ物はやだー。」
「そんなこと言うなって。ほら、さっさと入ろうぜー。」

ここはあなたの家ではない!がもう何を言っても聞かないのは分かっているので大人しく鍵を開ける。

「おかえり。」
「………ただいま。」

ただこれだけは、なんとなくいいなって思う。やっぱ一人暮らしは寂しい。
大人しく揚げ物の準備をしている間、レイさんはテレビをつけてビールを開ける。

「キャベツ先に切っとくんで好きなだけ盛り付けといてくださーい。」
「うーい。」

なんなんだこの新婚さんみたいな状況。深く考えたら駄目なやつかな…。
でも久しぶりに揚げ物なんてするな。きつね色に揚がっていくトンカツ。あぁなんて美味しそうなお高いお肉様。感謝。揚げ上がったトンカツをザクザク切っていくともうヨダレは止まらない。

「名前、目輝いてるぞ。いっつも死んだ目してるくせに。」
「お高いお肉様がいらっしゃるのですよ。輝かずしていつ輝くのか。」
「お前そんな食いしん坊キャラだったか?」
「美味しい物が好きで何が悪い。」

自分で料理してもあんまり美味しくないからしないだけで食べるのは大好きだ。トンカツは揚げるだけだから元が美味しいから美味しくできる。そりゃ追及していけば奥は深いんだろうけどさ。

「さぁ食べましょうよ!」
「ありがたく食えよー。」
「作ってあげたのは誰ですか。」
「ありがたくいただきまーす。」

ソースは少量かけてザクッと噛む。なんと肉汁!!素晴らしい!!

「美味しいぃぃ!」
「そんな顔して食べてくれるなら買ってきた甲斐もあるってもんだ。」
「自分も食べたかったくせに。」
「それもあるけどな。」

よかったよかったとニコニコ食べるレイさん。なんか企んでるのか?

(もしかして私餌付けされてる?)



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